第百十八話 次第に知っていってその九
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「先に進むのよ」
「そうするのね」
「ええ、人間はね」
まさにというのだ。
「嫌なこと辛いことがあっても」
「それでもなのね」
「それを乗り越えてね」
「先に進むことね」
「そうしないといけないから」
だからだというのだ。
「そうしていくことよ」
「そうなのね」
「落ち込んでも咲ちゃんの周りには人がいるから」
「お姉ちゃん達が」
「少なくとも敵じゃないつもりよ」
愛は真剣な声で言った。
「私はね」
「そうよね、お姉ちゃん私の味方よね」
「そのつもりだしね」
「つもりなの」
「いや、味方として支えられているか」
このことはというのだ。
「はっきりわからないからね」
「だからなの」
「こう言うのよ」
「そうなの」
「けれど何かあったら」
その時はというのだ。
「宜しくね」
「お話していいのね」
「そうしてね」
こう言うのだった、その声は咲に対して言っているもので電話越しでもしっかりと彼女と向かい合っていた。
「いいわね」
「それじゃあね」
「宜しくね」
「そう言ってくれるなら」
咲は愛に言った。
「私もお姉ちゃんに何かあったら」
「助けてくれるの」
「そうしていいかな」
「お願いね」
これが愛の返事だった。
「そうした時は」
「それじゃあね」
「ええ、咲ちゃんならね」
「お話聞く位ならね」
「本当にそれだけで違うのよ」
咲に笑顔の声で言った。
「これがね」
「そうなのね」
「だからね」
そうした時はというのだ。
「お願いね」
「その時はね」
「それとね」
「それと?」
「いや、咲ちゃん本当によ」
従妹に真剣な声で言うのだった。
「私も困った時はそうしてもらうかもだけれど」
「私もなのね」
「冗談抜きで何かあったらね」
その時はというのだ。
「いいわね」
「お話していいのね」
「聞かせてもらうわ、それにね」
愛はさらに言った。
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