38:はじめての友達
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た。
小指第一関節くらいの大きさの……枝豆のような形のレモン色の実。これもつい最近、街のプレイヤーショップから購入した……たしか、今の最前線辺りの階層でのみ採れると聞いた……名前は確か《ココリの実》という小さな果実……。
それをカリカリと咀嚼する音を鳴らし終えたと思えば……
じーっと、ボクを今までとどこか違う目で見つめ始めた。
「な」
に? と口を開こうとした瞬間。
ボクの目の前に小さなウィンドウが突如表示された。
【《ミストユニコーン》のテイミングに成功しました。《使い魔》にしますか? 【YES/NO】 】
「――――――。」
唐突過ぎて、一瞬何が書いてあるか理解できなかった。
開けっ放しの口が、さらに大きくあんぐりと開いた。
そして徐々に、徐々に現状を理解し……
「……………。……――――〜〜〜〜っ!?」
ボクは視界が再び感涙で急速ににじんでいくのを感じながら、口に両手を当てて驚き、言葉を失った。
この子はさっき、自分から木の実を食べたのだ。ボクが、この子にあげたのではなく、だ。それはつまり……
――この子は……ボクを信じ……自分から望んでボクの使い魔なろうとしている、ということではないだろうか?
それに、胸の内には……さっき以上の、喜びの津波が押し寄せていた。
「キ、キミッ……ボクをっ……信じて、くれたのっ……!?」
湧き上がる感動の嗚咽を堪えながら、ウィンドウタブ越しのユニコーンに問うた。
「キミはっ……こんなボクのっ、初めての友達にっ……なって……くれるのっ!?」
続けて口から出されたボクの問いに。
ユニコーンはボクに数歩、鼻面が触れる寸前まで歩み寄り……
――ボクの肩に己の顎を預け、甘えるように、ボクの横髪に自分の横顔を埋めてくれた。
「……――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ボクはYESボタンを押すよりも早く、思わずこの子を思いっきり抱き締め……そしてボクもまた、この子の鬣に顔を埋めた。
そして歓喜の泣き声をあげる。
今度も一切を包み隠さず、心の底から。
…………
……
…
そしてボクとこの子が、この落とし穴トラップから救出されたのは、この数分後……。
ボクの馬鹿でかい泣き声を聞きつけたパーティ員達が、一斉に救助に穴を滑り降りて駆けつけてきてくれ、その全員が余さず目をあらんかぎりに丸くして心底驚いてからのことだった。
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