38:はじめての友達
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『…………ッ!』
ボクの手から勢いよく飛び出し…………この狭い地下空間を、ぐるぐる回り始めた。
パララッ、パララッ、という軽快な蹄の音を鳴らしながら。
駆ける、駆ける。
その姿に、ボクは声を失う。
こんな薄暗い場所なのに……なんと幻想的な光景であろうか。
……しかし、今のボクの胸の内には、その光景の感動すら超える別の感情が込み上げていた。
「……うっ、うっ」
ユニコーンはくるくる駆け回っている足を止め、喘ぎ始めたボクの目の前で、突然何事かと見てくる。
ボクは、その目の前で……
「うぎっ……ひぐっ……うぁぁっ……――――うわあぁぁあんっ……!」
と、ユニコーンの目の前で、情けない事に……
……ボクは、赤ん坊みたいにびーびーと大泣きした。
「よかったぁ……よかったぁ……! うわぁぁああ、うわぁぁぁあん……!」
指ですくってもすくっても、後から後から止め処なく涙が溢れてくる。口を塞ごうと思っても、次から次へと肺とお腹の底から安堵の息が、いくらでも沸きあがってくる。
――……怖かった。
ボクがユニコーンに殺されそうになったから、ではない。
そんなことよりも……
この腕の中で、ユニコーンに死なれてしまうかもしれなかった。
動けないユニコーンを、ここに置いて行かなければならないかもしれなかった。
そのほうが……ずっとずっと怖かった。
だから……この子が救われ、助けられた今、とてもとても嬉しかった。
この湧き上がる気持ちに当てはまる言葉が、今のボクにはピンと出て来ないけれど……これだけは言える。
これは……『喜び』であることに間違いはなかった。
「うぎっ、ひぐっ……うっ、うぁぁん……!」
『……………』
そんなボクを、ユニコーンはじっと見据えてくる。
そして……
「うわぁぁぁっ……うぁぁぁっ――――うわあっ!?」
その時だった。
突如、胸元に、謎の衝撃が突き抜けた。
地にぺったり座っていたボクの上体は、その衝撃で仰向けに倒れた。
驚き、ボクは一瞬で泣き止む。
ユニコーンが突然、胸元に突進攻撃をし……その鋭利な角で、ボクの上体を突き飛ばしたのだ。
その攻撃で、ボクの残りHPがついに一割未満になった。
……気づけば、今度は逆に……しっかりと立つ子馬が、無防備なボクを見下ろしていた。
「あぁ…………そっか。……そうだよね……」
それを見たボクは、全てを悟った。
SAOにおいて、非好戦的モンスターは非好戦的とは言っても、全く戦闘をしない訳でも、全く戦闘力を持っていないわけでもない。
ユニコーンも元を辿れば、プレイヤーの敵……れっきとしたモンス
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