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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
38:はじめての友達
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は……」

 そう言って、ボクはユニコーンの顔を見ようとする。

「あ……」

 しかし、顔をフイと逸らされてしまった。
 その体は、極度の緊張で強張っていた。触れ合っているところから、ユニコーンの体が細かく震えているのを感じる。
 それでもボクの腕の中から逃げようとしないのは…………いや、今は深く考えないでおこう。そんなことより……
 ボクはポケットから、たった数本しか持っていない回復ポーションを摘まみ出した。

「ホラ……飲んで………」

 横ばいにボクに抱かれるユニコーンの首を片手で支え、もう片方の手でポーションの栓をキュポンと抜き、口に添えて少しずつ注ぐ。
 その時に嚥下を助け、また警戒を解いてもらえるように、喉を首筋に沿って優しく撫でてやる事を忘れない。
 流石に馬相手での経験はないが、犬などのペットに対する応急処置の応用だ。
 ユニコーンは身を強張らせながらも、飲まされる液体を少しずつ口に含み、喉を動かしていく。

「いい子、いい子だね……」

 そんなこの子に、ボクは柔らかくした声で囁きかけ続ける。
 次第にユニコーンは体の力を抜き始め……ボクは首を支えている手をゆっくり降ろし、膝の上にのせる。今度は膝枕をしてあげる形で、残りのポーションを飲ませていく。空いた手を、今度は安心させてあげられるように鬣を撫でてやる。
 やがて、時間をかけて全てを飲み終えたユニコーンのHPが、じわりじわりと回復していく。

「……もう、歩ける?」

 その言葉に、ユニコーンは立ち上がり――

「……わっ!?」

 しかしすぐに足を崩し、地に倒れかけたところを慌てて再び抱きかかえる。
 見れば、HPは回復を続けているのに……足の傷跡は少しも小さくなってはいなかった。

「な、なんでっ……」

 慌てたボクは、ウィンドウを呼び出し、マニュアルページを超高速で目を走らせた。しかし、目ぼしい情報は見つからず……
 ひどく狼狽した挙句、終いには(わら)にも(すが)る思いで、たまたま持っていたアイテム《モンスター別攻略本》を手に取った。
 これはとあるプレイヤーが、情報に乏しいボク達中層プレイヤー向けに作った本らしく、ボクとしては決してあまり頼れる代物ではない。しかも表紙下部には【大丈夫。アルゴの攻略本だよ。】なる、実にアヤシイ惹区(じゃっく)まで書いてあり、システムのマニュアルと比べても非常に眉ツバモノなのだが……

「え……あっ、もしかしてコレ……!?」

 すごい勢いでページをめくり、とある見出しで手が止まった。
 それは【部位破壊について】なるページで、

【オネーサンの豆知識コーナー:腕などの部位破壊はプレイヤーの場合、十分後に自動的に回復するけれど、モンスターの場合はず
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