38:はじめての友達
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は……」
そう言って、ボクはユニコーンの顔を見ようとする。
「あ……」
しかし、顔をフイと逸らされてしまった。
その体は、極度の緊張で強張っていた。触れ合っているところから、ユニコーンの体が細かく震えているのを感じる。
それでもボクの腕の中から逃げようとしないのは…………いや、今は深く考えないでおこう。そんなことより……
ボクはポケットから、たった数本しか持っていない回復ポーションを摘まみ出した。
「ホラ……飲んで………」
横ばいにボクに抱かれるユニコーンの首を片手で支え、もう片方の手でポーションの栓をキュポンと抜き、口に添えて少しずつ注ぐ。
その時に嚥下を助け、また警戒を解いてもらえるように、喉を首筋に沿って優しく撫でてやる事を忘れない。
流石に馬相手での経験はないが、犬などのペットに対する応急処置の応用だ。
ユニコーンは身を強張らせながらも、飲まされる液体を少しずつ口に含み、喉を動かしていく。
「いい子、いい子だね……」
そんなこの子に、ボクは柔らかくした声で囁きかけ続ける。
次第にユニコーンは体の力を抜き始め……ボクは首を支えている手をゆっくり降ろし、膝の上にのせる。今度は膝枕をしてあげる形で、残りのポーションを飲ませていく。空いた手を、今度は安心させてあげられるように鬣を撫でてやる。
やがて、時間をかけて全てを飲み終えたユニコーンのHPが、じわりじわりと回復していく。
「……もう、歩ける?」
その言葉に、ユニコーンは立ち上がり――
「……わっ!?」
しかしすぐに足を崩し、地に倒れかけたところを慌てて再び抱きかかえる。
見れば、HPは回復を続けているのに……足の傷跡は少しも小さくなってはいなかった。
「な、なんでっ……」
慌てたボクは、ウィンドウを呼び出し、マニュアルページを超高速で目を走らせた。しかし、目ぼしい情報は見つからず……
ひどく狼狽した挙句、終いには藁にも縋る思いで、たまたま持っていたアイテム《モンスター別攻略本》を手に取った。
これはとあるプレイヤーが、情報に乏しいボク達中層プレイヤー向けに作った本らしく、ボクとしては決してあまり頼れる代物ではない。しかも表紙下部には【大丈夫。アルゴの攻略本だよ。】なる、実にアヤシイ惹区まで書いてあり、システムのマニュアルと比べても非常に眉ツバモノなのだが……
「え……あっ、もしかしてコレ……!?」
すごい勢いでページをめくり、とある見出しで手が止まった。
それは【部位破壊について】なるページで、
【オネーサンの豆知識コーナー:腕などの部位破壊はプレイヤーの場合、十分後に自動的に回復するけれど、モンスターの場合はず
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ