第三十七話 退院その五
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「僕に片目をくれていたよ」
「そうした方だったんですね」
「よくからかわれもしたけれど」
それでもというのだ。
「僕に何かあれば絶対にだよ」
「助けてくれたんですか」
「子供の頃からね」
「そうした人だから」
「それでね」
「昴流さんにですか」
「右目もくれたよ」
昴流が失明したその目もというのだ。
「きっとね」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
「僕にこうしてくれる人は」
「北斗さんとお呼びしていいですね」
征一狼は昴流にこのことを確認した。
「そうしても」
「はい」
昴流は征一狼に即座に答えた。
「どうぞ」
「その北斗さんだけですか」
「そうです」
「そしてその北斗さんはですね」
「もう死んでいます」
こうなっていることを言うのだった。
「既に」
「そうでしたね」
「僕の身代わりになって」
「そうなって」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「星史郎さんに殺されました」
「まさに他ならぬですね」
「あの人に」
征一狼にこのことを話した。
「そうされました」
「なら誰かしら」
火煉は昴流の話を聞いて考える顔で言った。
「昴流さんに右目をくれる人は」
「それがわからへんで」
それでとだ、空汰も首を傾げさせた。
「今こうして話してますけれど」
「謎ね」
「ほんまに。お姉さんやないとなると」
「どなたかしら」
「わかりませんね、ただそうした人がいてくれる」
空汰はそうする人物が誰なのかわからないがそのことをそのまま置いてそのうえでそのこと自体をよしとして言った。
「これはええことです」
「素直にね」
「それで昴流さんにそうしてくれる人がおる」
昴流を見て言うのだった。
「このこと自体はええです」
「そうね」
嵐は昴流の言葉に頷いた。
「私もそう思うわ」
「そやな」
「昴流さんにそうした人がいてくれる人徳、幸運」
「そのことはな」
「喜ぶべきよ」
「ほんまやな」
「そう思うわ、だから」
今度は昴流に顔を向けて言った。
「そのことを素直に喜んで」
「僕はだね」
「手術を受けて」
そうしてというのだ。
「元通り見える様になってね」
「わかったよ」
確かな声でだ、昴流は嵐に答えた。
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