第三十七話 退院その四
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「それで、です」
「そうよね、私も神父さんがそうなった時があって」
「苦労されていましたね」
「だからわかるわ」
火煉は実際に神父がそうであった時のことを思い出して話した、その時彼女も何かと彼を助けていたのでわかるのだ。
「私も」
「そうですか、火煉さんも」
「それがずっととなると」
片目での暮らしがだ。
「本当にね」
「大変ですね」
「だからね」
そうなるからだというのだ。
「そうしたね」
「片目だけでも提供する人は」
「幾らその人が昴流さんと親しいとしても」
例えそうであってもというのだ。
「ちょっとね」
「ない位ですね」
「そうだと思うわ」
「昴流さんにそうした知人の方はおられますか」
「いえ」
どうにもという顔でだ、昴流は征一狼に答えた。
「ちょっと」
「そうですか」
「はい、親しい人はいてくれて」
昴流はさらに言った。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「僕を助けてくれる人はおられても」
それでもというのだ。
「流石にそこまでの人は一人しかです」
「おられますか」
「ですがもう亡くなっています」
「だから今ちょっと、と言われたのですね」
「はい」
そうだというのだ。
「僕も」
「そうでしたか」
「はい、どうもです」
また言うのだった。
「そうした人はです」
「ご存知ないですか」
「その人の他には」
「その亡くなった人のものか」
神威がこう考えた。
「まさか」
「いや、それはないと思うけれど」
昴流もどうかという顔で述べた。
「僕も」
「そうか」
「流石にね」
「お亡くなりになっているならですね」
玳透も言ってきた。
「流石に」
「それはないよね」
「そうですね」
昴流に考える顔で答えた。
「本当に」
「そうだね」
昴流もそれはと答えた。
「流石に」
「ええ、お亡くなりになっているのなら」
「その人は姉さんなんだ」
昴流は自分から言った。
「僕の双子のね」
「確か北斗さんでしたね」
護刃は昴流の姉と聞いてその名前を出した。
「そうでしたね」
「うん、姉さんならね」
「昴流さんが今みたいになったらですか」
「すぐにね」
それこそというのだ。
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