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第三十七話 退院その二

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「この日に合わせて」
「東京でも有名なお店なんです」
 護刃はとても嬉しそうに話した。
「凄く美味しいらしいですよ」
「そのケーキも食べてです」 
 征一狼も言ってきた。
「お祝いにされて下さい」
「物凄く大きなケーキだから」
 こう言ったのは火煉だった。
「たっぷり食べて楽しめるわ」
「何か悪いね」 
 昴流は仲間達に少し申し訳なさそうに述べた。
「そこまでしてもらうなんて」
「いや、悪くないですよ」
 玳透が昴流の今野言葉を否定した。
「名誉の負傷でしたから」
「だからなんだ」
「それで何が悪いか」
 こうも言うのだった。
「本当に」
「そう言ってくれるんだね」
「はい、それじゃあ今から」
「洋館に戻ってだね」
「そこでお祝いをしましょう」
「それではね」
 こう話してだった。
 一行は洋館に戻った、そしてパエリアやサラダ、スープ、カルパッチョ等の料理を囲んで乾杯をしてだった。
 飲んで食べはじめた、昴流はその中で自分から言った。
「右目のことだけれど」
「お医者さんから言われたか」
「うん、角膜を移植すればね」
 神威に自分の席から答えた。
「元通りに見えるらしいよ」
「そうか」
「そしてね」
 昴流はさらに話した。
「実は角膜移植の手配もね」
「進んでいるのか」
「ある人が保管している角膜を回してくれるそうだから」
「そうなのか」
「だからね」
 それでというのだ。
「それを移植してもらって」
「また見える様になるか」
「うん、ただ移植手術は少し先で」
 それでというのだ。
「おそらく戦いが終わってからね」
「移植することになるか」
「その時に僕が生きていれば」
 こうもだ、昴流は言った。
「その時はね」
「移植してもらえるか」
「そうなるよ」
 こう話した。
「それからね」
「また見える様になるか」
「そうだよ」
「なら戦いが終わったらだ」
 神威は微笑んで言った。
「そうなることも楽しみになるな」
「そうだね、ただ」
「ただ。どうした」
「僕の目が見える様になることは」
 どういうことかとだ、昴流は話した。
「戦いが終わっても僕が生きている場合だよ」
「安心しろ、昴流さんは死なない」
 確かな微笑みで以てだ、神威は答えた。
「何があってもな。天の龍全員がだ」
「死なないんだ」
「小鳥も玳透もな」
 天の龍ではないが共にいる彼等もというのだ。
「そして丁もな」
「皆がだね」
「死なない」 
 そうだというのだ。
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