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神々の塔
第三十七話 氷の海の神々その九

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「そのうえで考えます」
「そうするのね」
「ただ鯨を食べることに私等誰も」
「抵抗ないのね」
「美味しいとです」
 その様にというのだ。
「思ってますし」
「ほなハリハリ鍋にするか」
 芥川は笑って言って来た。
「宿屋では」
「あの宿屋ではあかんやろ」
 中里も笑って言った。
「ムークの人達がやってるけどな」
「明らかにイヌイットの服装やったな」
「それで日本の料理はな」
「出えへんか」
「ちょっとないわ」
 こう言うのだった。
「やっぱりな」
「そやからな」
「冗談やな」
「ああ、けど鯨もな」
「食べられるな」
「お魚もな」
 こちらもというのだ。
「あるな」
「そやな」
「何ならアザラシとかホッキョクグマとかな」
「そうした生きものも食べられるな」
「ステラーカイギュウかてな」
 この生きものの名前も出した。
「食べられるで」
「この世界にはよおさんおるしな」
「そやからな」
「何でも食べていいでしょ」
 またセドナが笑って言ったきた。
「食べたい、イヌイットの食べものをね」
「食べて楽しんで」
「お酒も飲んでね」
 そうもしてというのだ。
「そしてね」
「そのうえで」
「楽しんだらいいわ、まあ私は食べるのが第一で」
 セドナ自身はというのだ。
「お酒はね」
「別にですか」
「いいの」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「そうなんですね」
「神霊もそれぞれで」
 綾乃に対して話した。
「私の場合は食べることにね」
「集中されてるんですね」
「飲み気より食い気よ」
「そうなんですね」
「あんたは違うみたいだけれどね」
「うちお酒めっちゃ好きです」
 実際にとだ、綾乃はセドナに答えた。
「ほんまに。食べるのも好きですけど」
「それと一緒に」
「はい、お酒大好きで」
「よく飲むのね」
「そうなんです」
「そうなのね、じゃあお酒もね」
「飲めばええですね」
 綾乃はセドナに問うた。
「そうしても」
「私が言うことじゃないわよ」
「お酒を飲むことは」
「だって私お酒は司っていないから」
 セドナは自分が司っていることのことも話した。
「海の女神だから」
「お酒のことはですか」
「関係ないから」
 だからだというのだ。
「言わないわ」
「そうですか」
「だからね」
「うちもですね」
「好きなだけ飲んでね」
「そうさせてもらいます」 
 綾乃はそれならと応えてだった。

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