第九十七話 食べられる幸せその三
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「もうね」
「建物に雷が落ちて」
「それで壊れるってことがね」
「多かったのね」
「それで大阪城の天主閣もよ」
二代目のそれもというのだ。
「落雷でね」
「壊れたのね」
「それからずっと天守閣なくて」
江戸時代前期にそうなってだ。
「昭和になってね」
「今の天主閣が建てられたのね」
「そうなったのよ」
これがというのだ。
「それで今もあるのよ」
「成程ね」
「あと御所にも落ちたしね」
富美子はこのことも話した。
「清涼殿にね」
「そうそう、あれよね」
「菅原道真さんの怨霊がやったっていう」
「あれよね」
「あれがあったわね」
クラスメイト達も口々に応えた。
「あれ本当に怨霊かもね」
「道真さん左遷されたの事実だし」
「怨み飲んだのもね」
「それならね」
「そうかもね、それでああしたこともあって」
それでとだ、富美子はこの落雷を怨霊によるものではないかという説を否定しないままさらに話した。
「大雨、洪水も火事も火山の噴火もね」
「あるわよね」
ウクライナの娘も応えた。
「大雪、雪崩、あと津波も」
「何でもあるわね」
「だから平和でも」
「災害が多くてね」
「困ってるのよね」
「それで災害が起こったら」
そうなった時もだ、富美子は話した。
「こうしたものを好きに食べるなんてね」
「出来ないわね」
「あっという間によ」
それこそというのだ。
「なくなるわ」
「そうよね」
「そう思うとね、平和が一番で」
「災害もないなら」
それならというのだ。
「もうね」
「最高よね」
「それだけでね」
「幸せね」
「こうしたものが食べられるなら」
富美子は緑のグミを口の中に入れつつ言った。
「それだけで違うわね」
「そうでしょ、というかね」
「というか?」
「いや、戦争とかとんでもない政治はないに越したことはないけれど」
ウクライナの娘は富美子に暗い顔で話した。
「それと一緒にね」
「災害ね」
「それもなかったら最高ね」
「それね、災害はね」
まさにとだ、富美子も応えた。
「冗談抜きでよ」
「あったら災厄以外の何でもないわね」
「特に地震は予知出来ないから」
それ故にというのだ。
「厄介よ」
「被害も大きいし」
「そう、何時何処でどれだけのものが起こるか」
それがいうのだ。
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