銀色の真実
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ージの声も暗い。
当然だろう。先程青髭の神に対する暴言が全てを語っている。だからこそ龍之介は敢えて全てをぶちまけたのだろう。人生のやり直しは、まだどうにかなる。だが、恋は……初めての恋はどうなる?それを叶えられずに去っていく辛さは筆舌に尽くしがたい。なればこそ龍之介は全てを語ったのだろう。
「それに、彼なら何とかしてくれるよ」
そう言うと、龍之介は優しく笑った。
sideシャルロット
「……はぁはぁ」
バレた。一番気付いて欲しくて、一番知られたくない人に知られてしまった。
龍之介さんが僕が「シャルロット」であると言ったその後、切嗣を置いて逃げ出してしまった。全力で走って、呼吸するのも辛い。でも止まれない。今止まれば、切嗣と会ってしまうかもしれない。
――もし、切嗣に拒絶されたら?――
嫌だ!!そんなの絶対に嫌だ!!
まだ切嗣と一緒にいたい。切嗣の事をもっと知りたいし、切嗣にもっと多くの事を知って欲しい。もっと、切嗣と……
…………
何時間も走って歩いて、走ってを繰り返した末、気が付くと、いつもの見慣れた公園に立っていた。
「……」
ふらふらと近くのブランコに近づいていく。それは相変わらずの不協和音を鳴らし、僕を迎え入れた……まるで、ここが僕の居場所だというように。
そのままブランコに腰を降ろす。雨が降ったわけでも無いのに、湿っていた。
ふと上を見上げる。もう太陽は沈みきり、空には銀色の月が空を蹂躙していた。
「何で……どうしていつも奪うんだ!?」
思わず叫んでしまった。世界は優しくなんか無い。優しければ、母さんや……切嗣を奪ったりしない。いつの間にか頬を涙が濡らしていた。
「何をしたって言うんだ!
いったい僕が何を……」
怒りを、天高く在る月にぶつけた。しかし、それは届くはずもなく消え去る。
――憎い。大切な人を奪っていく世界が憎い。まるで嘲るかの如く高く輝く月が憎い――
しかし、どれ程憎もうと、絶望しようと世界は何も応えない。世界は優しく何かないから。
しかし彼女は未だ気付かない。優しさを返すのは世界何かではなく、いつも人だということを。
「そうだ。君は何もしていない」
返る筈の無い答えが返ってきた。
「きり……つぐ?」
振り返ると息を切らした切嗣が立っていた。
丁度雲で月の光が隠れて彼の顔が分からないのが恐かった。もし、怒っていたら?嘲笑っていたら?
「い、いや!」
想いは形となり表れた。
――拒まれたく無い。受け入れて欲しい――
もう無理だと分かっているのに、それでも諦めたくないと渦は大きくなる。
「……うっ、たす……けてよ……切嗣」
……切嗣は、何も言わず此方に寄って、
「……え?」
ただ、手を差しのべた。
「おいで」
一言、そう添えて
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