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最期の祈り(Fate/Zero)
崩れ去る虚構の現実
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ていたよりも大きな音がした。思わずシャルルの方を向いてしまう。
「ふああ」
案の定、彼を起こしてしまった。
「あ、切嗣。どこかに行くの?」
「起こしてしまったみたいだね……少し昼食を買ってこようと思って。何かリクエストはあるかい?」
そう言うとシャルルは目を輝かせてベッドから這い出した。
「だったら僕美味しいお店を知っているよ!」
「へ〜、じゃあ、そこに行ってみようか」
「うん!」
シャルルの食付き様が余りに凄まじかったので、つい切嗣も賛同してしまった。
…………それが地獄への片道切符になるとも知らずに。

――――――――――――――――――――――――


嘗て衛宮切嗣は、聖杯の正体を見知り、それが壊したモノの被害を知った時思わず絶望の声を上げた。切嗣はその時、これ以上の絶望を味わう事は無いだろうとたかをくくった。しかし、この世界に来て改めて、その慢心を、考えを、覆された。
「馬鹿な……そんな馬鹿な!?」
その声は上ずり、聴いたものはその嘆きに目を伏せざるを得ないだろう。
それほどに、彼の声は絶望を孕んでいた。
「何で、これが……こんなモノが在るんだ!?」
彼を絶望に陥れた正体、それは
「泰山」
そう一言書かれていた。
前の世界でも、切嗣はこの店を訪れた事がある。
言峰綺礼の調査を行った際、彼は一ヶ所奇妙な記述に目が止まった。
「これは……?」
報告によると、言峰綺礼は毎日1回は冬木の「泰山」という店で麻婆豆腐を食べているというものだった。趣味思考の問題で流してしまえば良かったが、アレの危険性に誰よりもいち早く気付いた切嗣は言峰の特性を知るためにその店に足を運んでしまった。
……それが決定打だった。
「ヤツは……言峰綺礼は僕の予想以上に危険な人物だ!!」
そう言う切嗣の顔は酷く怯えていた。……因みに、彼の食事は2.3日流動食だった。
そして、世界線を超えて最大の壁が今まさに切嗣に襲いかかろうとしていた……
「切嗣〜、早くはいろうよ」
自分がシャルルだという事実を忘れて、可愛いらしく切嗣を店(地獄)に連れ込もうとするシャルロット。しかし、そんなことを気にする余裕が無いほど切嗣は怯えきっていた。
彼の顔には汗がダラダラ流れ、顔色は真っ青を通り越して真っ白だ。今の切嗣ならイギリス出身と言っても通じるかもしれない。
「じょ、冗談だろシャルル?」
店からは既に目が痛くなるような匂いが漂っていた。常識のある人間ならこの時点で引き返しているだろう。だが、
「もお、早く入ろうよ」
ガシッと擬音語が付くような勢いで腕を掴むシャルルは普通の範疇に入れていいのか?
そのまま引き摺られる様に入った店に居たのは
「いらっしゃいませ。何名かな?」
「言峰綺礼!?」
無駄にダンディーな声で喋る神父がいた。
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