崩れ去る虚構の現実
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は思ったが、好奇心に抗えず見てしまう。
「聖杯、泥、冬木……?」
彼が調べていたのは、何の事は無い普通のワードだった。
(……本当に何を調べてたんだろ?)
適当に画面をスクロールさせる。どれも注目するような情報は無い。
(キリスト、アーサー王、冒険、幸せの壷……)
ただあてどなく画面を見ていたが、それにも飽きてきた。
はぁ、と溜め息をつき2つ在るうちの1つ、窓側のベッドに横になる。
「切嗣、気付いてくれないのかな?」
窓にはシャルルとしての自分が映る。さらしを巻いて平になった胸に中性的な顔。今の自分には女としての魅力が無いから当然と言えば当然だが……
「それでも気付いて欲しいな」
「何をだい?」
「ひゃわっ!?」
急に後ろから声が掛かった。
「き、切嗣、驚かせないでよ!」
少し涙目になって訴える。
「ごめんごめん。驚かせるつもりは無かったんだ」
慌て否定するように手を振る切嗣。そんな切嗣をみて、つい可愛いと思ってしまった。
「それより何に気付けばいいのかい?」
しまった。確かに僕が女の子だって気付いて欲しいとは思ったけど、ばれたらそれはそれでマズい!
「あ、あはは。何でも無いよ。それより!」
「話題を反らす位知られたくないんだ」
「いいから!」
何とか強引に話題を反らす。
「そんな格好で寝るの、切嗣?」
「え、ああ。そのつもりだよ」
切嗣の格好は、黒のビジネススーツ。つまり完全に外着のそれだ。
「流石に不衛生だよ」
「そう言うシャルルもさっきと変わらないじゃないか」
「うっ」
痛い所を付かれた。ここに泊まる事はその場で決めたので、着替えを持っていなかった。
それでも、そんなよれよれの格好で寝るのはどうかと思う!
「それに僕は寝間着なんて持って来てないしね。今回は勘弁してくれないかな」
片目を瞑りながら、まるで娘に謝るように手を合わせる切嗣。
「はぁ、まあいいや」
何だか今日は疲れたし、早く寝たい。
見れば切嗣も欠伸を噛み殺していた。
「切嗣も眠いの?」
「最近はちゃんとした睡眠は取れてなかったしね」
そう言うと切嗣も横になった。
「すまないけど先に寝るよ」
おやすみ、と一言告げると眠りについた。
「寝るの早いな、よっぽど疲れてたのかな」
まじまじと切嗣の顔をみつめる。それは、まるで安心して眠る猫のように穏やかな寝顔だった。
「何だかな……」
この寝顔を見ていると、眠いにも関わらず、ずっと見ていたいという欲求が沸き起こる。
(でも、寝なくちゃ)
寝ないと、明日が辛い。切嗣と一緒に過ごすのにだらしない姿は見せられない。
そこまで考えると、彼女も目を閉じた。
明日を想って。
――――――――――――――――――――――――
翌朝、
眠れませんでした。
「う〜
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