邂逅
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「すみません。奥の席、宜しいですか?」
女性の声に、首をもたげた。そこには、金髪の――所謂、美人という部類に入る女性がいた。再度喋りかける。
「私の席、隣なので」
「ああ、失礼」
そういうと、男は一旦席を立った。
場所は、ロンドンの空港。5.00発でフランス行きの航空機の中。そこに全体的に黒い男と黒のビジネススーツに金の髪が栄える女性の姿があった。
女性が座ったのを確認すると、男も座り直し新聞を再読し始めた。
――間もなく離陸します――
アナウンスの後、数分後2人を乗せた飛行機は大空にフライトした。
――――――――――――――――――――――――
パリ郊外、ヒトゴミから少し隔たった場所に小さな公園があった。周りの華やかさとは対照的に、その公園は死んでいた。塗装の剥げきった遊具。風でブランコが揺れる度、金切り音が泣く。それはまるで、最期の時を待つ断末魔の叫びを彷彿させるため滅多に人は寄り付かない。ここから少し歩いた所にもっと大きい公園が在るのも手伝い、後数ヶ月で取り壊しが決定している。それ故か、ここ最近、一層不協和音を立てるようになった。
そんな公園に、目を引く人物がいた。それは、肩まで伸ばした、金が掛かった黄色の髪に柔らかい顔立ちを備えた中性的な人だった。女性と言っても納得でき、男性と言っても秘密の王子様でも想像すれば、経験が実感に勝り受け入れてしまうだろう程の華やかさがある。
彼女……彼の名はシャルル・デュノア。フランスの代表候補生であり、将来もある程度は約束されていると言っても過言では無い。しかし、未来の栄光とは対照的に、シャルルの表情は陰っていた。
「……この場所ともお別れか」
その発言から、シャルルの表情を曇らせる原因の5割程度は察する事が出来た。お気に入りのスポットを壊されれば、誰だって気持ちは沈む。しかし、それだけでは説明に尽きない。
彼は、暇が在れば毎日のようにこの場所に来た。別にこの公園に思い入れが在るわけでもなければ、好きでもない。
……好きなんて話では無い。彼は嫉妬していた。たしかに、この公園は醜い。だが、それは人の手が加わってないことも意味している。自由……
自分はどうだ?確かに外観は華やかかもしれない。しかし中から見れば、他人の手が介入し在る意味、公園の外観すら問題にならないほどの不快があった。
……自然に朽ち、自ずと消える。そのあり方に、言い様の無い快感と寒気を覚える。
彼が公園を破棄する旨の話を聴いた時、まず最初に浮かんだ感情が嫉妬だった。
――何故、僕を置いて先に逝く?――
死への情景に焦がれた次の瞬間、新たに襲ったのは恐怖だった。
……自分は、死を恐れていないのか?
……異常
そして、悟った。どうやら歪になったのは外形だけではないということに。
(……肉体があり、その次に精神があるか……確か
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