夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第7話
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しかしアイアンザックは己の野望のためだけに、眠っていたはずのスパルタン計画を墓から掘り起こし。死んで行った部下達の思いを踏み躙るかのように、ノバシェードという悪魔以下の畜生共に魂さえ売り渡した。
(……それだけのことをしてまで、造り上げたのがこの木偶の坊? つまらないねぇ。実につまらない)
戦火に散ったマルコシアン隊の英霊達に対して、これ以上の冒涜はないだろう。とはいえ、ジャスティアドライバーの適合者を探すためなら如何なる手段も問わない光自身も、決して清廉であるとは言えない身だ。アイアンザックの姿勢そのものに文句を付ける気はない。
力を求めて悪魔に魂を売る。それも1人の狂気を厭わぬ科学の探求者としては、共感出来る部分であった。だが、そんな光としても。アイアンザックと、彼が生み出したミサイルスパルタンは単純に「気に食わない」のだ。
(……気に食わないねぇ。あぁ、実に気に食わない)
悪魔に魂を売るのは結構。しかしそこまでするからには、相応の成果物を完成させなければ「費用対効果」が得られない。売った魂の割に合わない。未熟なオルバス1人に手こずっているミサイルスパルタンに、そこまでの「値打ち」があるとは到底思えない。
しかし当のアイアンザックは、自分の理想が実現したと言わんばかりの高笑いを響かせている。悪魔に魂を売ってまで完成させた巨人がこの程度であり、当の本人はそのレベルの低さに気付いてもいない。そんなアイアンザックの姿は、光をこれ以上ないほどにまで「不愉快」にさせていたのだ。
(……私は特に好かないのだよ。こういう白ける真似をする輩が、ね)
彼女が斎藤のコンピュータをハッキングして真凛を助けたのは、ミサイルスパルタンと戦っている忠義を救うためだけではない。アレクサンダー・アイアンザックという男の「程度の低さ」が、同じ科学者として、ただひたすらに気に食わなかったのである。
(そういうわけだから……さっさとそいつを黙らせてくれたまえよ、私の仮面ライダー)
それが彼女なりの正義感によるものなのか。あるいは、単なるいつもの「気まぐれ」なのか。それは、彼女自身にしか分からない。専用車椅子の肘掛けに体重を預けた瞬間、光の乳房がぷるんと僅かに揺れる。
その気怠げな姿勢のまま、彼女は冷ややかな眼差しでアイアンザックの「末路」を見届けようとしていた。オルバスの鎧を纏う忠義に対しては、「期待」の熱を帯びた視線を注いでいた彼女だが――ミサイルスパルタンの方には、焼却炉に送られた生ゴミを見るかのような眼を向けている。
『マルコシアン隊が旧シェードに完勝さえしていれば、私のスパルタン計画は大々的に認知され、賞賛され、歴史に記録されていたのだ! だのにスパルタンシリ
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