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仮面ライダーAP
夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第7話
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「なぜだあぁあぁあッ!?」

 真凛の行手を阻んでいた自動ドアが、謎の「誤作動」によって開かれた頃。ノバシェード・アマゾン支部の怪人研究所では、1人の男が怒号を響かせていた。研究員らしき白衣を纏っているその男は、シャドーフォートレス島の状況を映したモニターを感情任せに殴り付けている。

 アマゾンの密林に隠されたこの施設に設けられている、薄暗い怪人研究室。その閉鎖的な空間を、モニターの怪しい光だけが照らしていた。その光はモニターを殴っている白衣の男だけでなく、彼の背後に並び立つ大型の培養カプセルも照らし出している。

『グ……ガ、ァ……』

 カプセルの内部で培養されている怪人の実験体は、今にも動き出しそうな不気味さに満ちていた。そのカプセルの下には、「フィロキセラ・タイプγ(ガンマ)」と記載されている。知性のない眼をギョロギョロと動かしていた実験体は、自分の生みの親である白衣の男の背中をジッと見つめていた。

「なぜだァッ!? 死に損ないのクズ兵士2人をあのドアの前に行かせて……さらにドア自体にもロックを掛けたはずなのにッ! なぜあのドアが開いたのだッ!? あそこのセキュリティシステムに異常など無かったはずだァッ……!」

 この地からシャドーフォートレス島の施設運用に干渉していた白衣の男――斎藤空幻は、予期せぬ事態に激しく声を荒げていた。自分が仕掛けた罠を真凛に軽々と突破された挙句、ホークアイザーからも冷たく見放された彼は、意地でも真凛を排除してやろうと策を弄していたのだ。

 ヘレンやオルバスを迎撃するために動こうとしていたクランツ曹長とミルド軍曹を呼び止め、自動ドアの前で見張りをするように仕向けていたのも彼だ。彼は2人に真凛を始末させるために、スナイパースパルタンの余剰部品から造った特殊強化服を与え、真凛の進行ルート上に配置していたのである。

「おかしい……絶対におかしい……! こんなこと、起こり得るはずがないのだ……! 私以上の頭脳を持つ別の何者かが、この島のセキュリティ権限を奪い取りでもしない限りはァッ……!」

 しかし結局は、クランツ曹長もミルド軍曹も真凛によって倒されてしまった。その上、真凛からは絶対に解除出来ないようなロックを施していたはずの自動ドアは、何らかの「異常」によってあっさりと開かれてしまったのだ。自分の目論見が悉く破綻して行くこの事態に、斎藤は頭を抱えて唸り声を上げている。

「……!? ま、まさか……!」

 その時。自分自身が口にした「あり得ないこと」を反芻した斎藤が、ハッと目を見開いて顔を上げる。自他共に認める天才である彼が、それでも「自分以上」と認めざるを得ないほどの頭脳を持った人物。それに対するただ一つの心当たりが、彼の脳裏に「正解」を与えたのだ。

 ◆


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