第三十七話 氷の海の神々その一
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第三十七話 氷の海の神々
今度の階は床も壁も天井も全てが氷であった、シェリルはその氷の迷宮の中を進みつつ不機嫌そうに言った。
「術と服で寒くないが」
「それでもよね」
アレンカールが応えた。
「あんた寒いのは好きじゃないわね」
「生まれが暑い場所やったからな」
だからだとだ、シェリルはアレンカールに答えた。
「馴染めんわ」
「それあたいもよ」
アレンカールは自分もと答えた。
「だってね」
「自分ブラジル人やかさいな」
「もう熱帯よ」
ブラジルはというのだ。
「アマゾンがあってね」
「暑い国やな」
「そこに生まれたさかいね」
だからだというのだ。
「寒いのはね」
「苦手やな」
「暑いのはええ」
リーも言ってきた。
「それはな」
「あんたのお国も暑いしね」
「シンガポールもな」
「そうよね」
「そうやさかいな」
それ故にというのだ。
「こうしたな」
「如何にも寒い場所は」
「たまに見るのはええが」
それでもというのだ。
「その中を進むのはな」
「どうにもよね」
「ああ、ただこうした場所は滑るさかい」
氷の床を見下ろして話した。
「他の階でもしてるけれど浮かんでいてな」
「ええよね」
「そや、いざって時に滑ったらな」
「それだけで致命傷よ」
アレンカールは確かな声で言った。
「流石にあたい達星の子達やとね」
「そんな遅れは取らんがな」
「レベルが高くてね」
「ステータスも特技もちゃうからな」
「他の人達とね」
「そや、しかしな」
それでもというのだ。
「それは普段でな」
「咄嗟の時とかね」
「あと誰でも失敗する」
「どれだけレベルが高くてもね」
「そやからそうしたリスクを考えてな」
「こうした階では特にや」
シェリルも言って来た。
「用心がや」
「必要や」
「そや」
まさにとだ、リーはシェリルにも答えた。
「その通りや」
「そやな」
「氷でも滑らんかったら」
「それだけ有利に戦えるわ」
「敵が出てもな」
「そういうことやな」
「そうそう、しかしね」
アレンカールは今度は透明に輝く壁を見て言った。
「奇麗なことは奇麗ね」
「水晶みたいやね」
綾乃が応えた。
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