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木の葉詰め合わせ
本編番外編
入れ替わりシリーズ
入れ替わりの話・完
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それは有る意味では仕方の無い事なのかもしれない――私同様、若いうちに頭領として抜擢されて以来ずっと一族を守るために苦心してきたのだ。それをいきなり仲間です、と言ったって心から信じられる訳が無い。

「お前の心配も最もだけど、大丈夫だよ」

 席を外していたミトが御盆に新茶を注いだ湯のみを載せて、戻って来る。
 するすると優美な衣擦れの音を立てて歩く妹の仮の姿に微笑みかければ、可憐な笑みで返された。
 ああ。私の妹は世界一!

「――山中殿はそのようなお人ではないよ。彼は信頼に値する、立派な御仁だ」
「……貴様は人を見る目があるのか無いのか分からん。オレが貴様の立場であったら……オレの様な者など連合に引き入れはせんぞ」

 独り言の様に呟かれた声に反応して、隣のマダラを見れば顔を俯けている。
 まあマダラの言う通り、うちはに同盟を持ちかけるのは確かにリスクのある賭けだったけど、こうして敵ではなく味方としてこの同盟者殿と会話できるようになっただけでも、頑張った甲斐があったもんだ――そんな風に思いはしたけど、それ以上口を開く事は止めておく。
 そのかわり、と言っては何だが今は眼下にある形の良い旋毛を労いを込めて撫でれば――肩が大袈裟なまでに震えた。
 野生の獣の様な反応だなとか思いつつも、そう言えばこいつはこうやって頭を撫でてくれる人とかいたのかなぁと脳裏の片隅で考える。幼少の頃の記憶に存在する弟君曰く、出会った頃には既に一族の大人も無視できないだけの実力を兼ね備えていたらしいし、普段の一族の者達に対する振る舞いからして彼らはあくまでマダラにとっての庇護対象ではあっても、弱音を吐く相手には成り得なかったんじゃないだろうか。
 最もイズナ君が生きていてくれたら、まだ何か変わっていたかもしれないが……。

「――――おい」

 よくよく考えてみれば普段の傍若無人振りに惑わされそうになるが、こいつも私より年下なんだよな。確か、扉間と同じ位だって前に誰かが言っていた気がしなくもないし。
 ……そっかぁ、弟の扉間と同じ位だったんだな、こいつ。あの子もあの子でなかなか大事な責任を負ってはいるけど、頭領の仕事と言うか責任は、その比じゃないものなぁ……。その内過労で倒れたりするかもしれないから心配だ。
 大丈夫かなぁ、体調管理とか疎かにしているイメージが何かあるし、凄い気になる。

「――……おい、聞いているのか」
「はっ!! すまん、何も聞いてなかった!」

 頭を撫でていた手をぱっと外して謝罪すれば、大袈裟なまでに溜め息を吐かれた。
 にしても何でしょう、この呆れ返った表情は。釈然としない表情のまま背後の二人を振り返ってみれば、山中殿が湯のみをひっくり返した所だった。
 何してるんだろう、あの人。


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