第二章
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「向き不向きってあるから」
「どうしてもね」
「葉がなくなることに我慢出来ないなら」
「学問漬けも無理なら」
「あの方々がそうであっても」
「貴方が無理ならね」
「ううん、彼等は大好きだけれど」
それでもとです、桐は言いました。
「けれどね」
「体質的にも性格的にも無理なら」
「それならね」
「もうね」
「どうしても無理なことは無理だから」
「貴方は貴方で」
「あの方々とは違うから」
家族は桐に切実に言いました。
「幾ら好きでもよ」
「寒いことがどうしても無理で」
「あそこまで学問が好きでないなら」
「無理をすることはないわよ」
「残念だけれど」
本当にそう思いました、ですが。
桐はそれならと頷きました、そしてです。
三友の前に行ってです、彼等に言いました。
「悪いけれどね」
「そうか、我々とはか」
「一緒にいられないか」
「どうしても」
「そうね」
彼等に苦い顔で言うのでした。
「僕は考えるよ」
「そうか、それではだね」
「君は四友とはならない」
「そうなるんだね」
「そうなるよ」
実際にというのです。
「君達は三友でね」
「君は君」
「そうしてだね」
「これからやっていくんだね」
「それで生きて行くよ」
こう言うのでした。
「僕は僕でね」
「そうか、ではね」
「お互いそうして生きていこう」
「我々は我々で」
そしてというのでした。
「君は君で」
「お互い元気にやっていこう」
「そうしていこう」
「うん、どうしても無理なことがある」
幾ら望んでもです。
「そうだね」
「我々も苦手な季節がある」
松が言いました。
「それぞれ」
「寒いのはよくとも」
竹も言いました。
「そうした季節があるよ」
「君は冬は苦手だとしてもね」
梅も言うのでした。
「他の季節があるし」
「学問は好きでなくとも」
「学問だけじゃない」
「他のものもあるしね」
「そうだね、僕は僕でやっていくよ」
桐もそれでと応えました。
「これからはね」
「うん、ではね」
「これでお別れしよう」
「我々も残念だけれど」
三友も心からそう思いました、ですが。
桐は去りました、書を持たずその身体には葉は一本もありませんでした。
以降三友は三友で桐は桐で過ごしました、そしてそれぞれが合った風に楽しく暮らしお付き合いをして過ごしました。どうしても会わない向き不向きがあるとお互いにわかって。中国に古くから伝わるお話です。
葉をなくし 完
2023・2・12
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