暁 〜小説投稿サイト〜
葉をなくし
第一章

[2]次話
     葉をなくし
 中国の古いお話です。
 松と竹、梅はずっと一緒にいて歳寒の三友と言われていました、寒い時期の三人の友人達という意味でとてもめでだいものでありどんな状況でも揺らぐことのない友情という意味でした。
 そんな三本の木々にです。
 悟桐はいつもです、こう言っていました。
「私も何時かだよ」
「私達の中に入って」
「そうしてだね」
「常にだね」
「いられる様になって」
 そうしてというのです。
「四友と言われたいよ」
「そう思うなら」
 松が言ってきました。
「二つ条件があるよ」
「二つかい」
「うん、葉を失うことにだよ」
 このことにというのです。
「耐えることと」
「志と貞節を保つことだよ」
 今度は竹が言ってきました。
「真面目にね」
「身を保つことかい」
「そうだよ」
 二つ目はこちらだというのです。
「そちらもだよ」
「この二つを我慢出来るなら」
 最後に梅が言ってきました。
「君もだよ」
「三友の中に入ってだね」
「そしてだよ」 
 そのうえでというのです。
「四友になれるよ」
「わかったよ、ではその二つに我慢するよ」 
 桐はこう答えました、そしてです。
 四本の木となり四友と呼ばれる様になりました、すると。
 松と竹、梅はです。桐にでした。
 毎日彼のお家にやって来てそうしてでした。
「今日はこの書を持ってきた」
「是非読んで欲しい」
「志と貞節を保つ為にもね」
 こう言ってです。
 本を持って来て読む様にいい学問のお話をしました、彼等は学問が好きでした。ですが桐はでした。 
 元々学問は好きではなくです。
 葉は一枚ずつ季節が移るにつれて風に飛ばされていきます、そうなっていき。
 学問も次第に嫌になってきました、それでです。
 家族にです、こう言うのでした。
「どちらもね」
「我慢出来ないの?」
「葉がなくなることが」
「それで学問も」
「友達になりたいよ」
 三友と、というのです。
「けれどね」
「それでもなのね」
「その二つはなのね」
「どうもね」
 これがというのです。
「我慢出来ないよ」
「葉がなくなると寒くて」
「その時にずっといることは」
「うん、そのことも無理だし」
 それにというのです。
「毎日学問漬けで」
「志と貞節を保つ」
「そう言われてもなのね」
「僕にはどちらも向かないよ」
 どうしてもというのです。
「体質的にも性格的にもね」
「それならね」
「無理することはないわよ」
 家族は桐に言いました。
[2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ