第二章
[8]前話
木の葉は忽ちお魚になり川の中を満たしました、カンナカムイの妹はここで人々にお魚をどうして獲って食べたらいいか教えました。
「そうしたらいいから」
「釣るのですか」
「そして網を使う」
「そうして獲ればいいですか」
「そうなのですか」
「そして焼いて煮て」
人間達にさらにお話するのでした。
「干物にしたり塩漬けにしたり」
「すぐに食べられなくても」
「そうして保存すればいいですか」
「そうすれば長く食べられますか」
「そうよ、燻製にも出来るから」
こうしたことを教えました、すると人々はお魚を獲って食べる様になりました。こうして人々は餓えから救われそれからもお魚を食べることが出来る様になりました。
それを見たカムイ達は一件落着と胸を撫で下ろしました、ですが。
梟の女のカムイはここでカムイ達にお話しました。
「実は急いでいたので葉を少し落としてしまい」
「そうしたのか」
「そうだったのか」
「渡島半島のユーラップ側に」
そちらにというのです。
「そうしてしまって」
「それでか」
「あの川にも魚がはいったのか」
「そうなのか」
「その川に入ったお魚は鵡川のとは違って」
それでというのです。
「細長いお魚になったの」
「そうなのか」
「そうなったのか」
「柳の葉がそのままなった様な」
そうしたというのです。
「細長いお魚になったわ」
「あの川に入れば色々な種類の魚になる様にしたが」
「あの川についてであってな」
「違う川なら別の魚になるか」
「そうなるか」
何故そうしたお魚になるのか、カムイ達は考えてわかりました。
「そういうことだな」
「ではその魚もあの地の人間達が食べられる様にしよう」
「そうしよう」
「それがいい」
こうお話してでした。
カムイ達はそのお魚もよしとしました、そして。
人間達はこのお魚を食べて言いました。
「美味いな」
「ああ、中の卵までな」
「焼くと最高だ」
「これは美味い」
「実にいい魚だ」
こう言うのでした。
「柳の葉から出て柳の葉の様に細い」
「まさに柳の魚だ」
「ならススハムだ」
柳がススで葉がハムとなるのです、この地の人間達の言葉では。
「ススハムと呼ぼう」
「この美味い魚をこう呼ぼう」
「そしてその味を楽しもう」
こう言い合ってでした。
人間達はススハムを好んで食べる様になりました、そしてこの名前がこの地に住む人間達即ちアイヌの人達からです。
日本中に伝わり皆でシシャモを食べています、それは全てこのお話からはじまったことなのです。
柳とシシャモ 完
2023・5・13
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