第二章
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「それじゃあな」
「そうするな」
「そうしてみるな」
親父の言葉に頷いてだった。
ハンスは馴染みの行商人に一度オックスの店の馬車を使ってはどうかと提案した、行商人はその話を聞いてだった。
ハンスの店でなくていいかと尋ねたがハンスから事情を聞いてそれならと頷いた、そうしてであった。
行商人は乗ってみた、そして彼の仕事先に行ってまたハンス達がいる街に来た時に彼の店に行って話した。
「凄く乗り心地がいいんだよ」
「それがかい」
「ほら、馬車ってあれだろ」
行商人はハンスに彼の家の中で話した。
「木の板の上でずっといるだろ」
「そうだよな」
「それで随分乗り心地が悪いな」
「少し乗っていたら尻や背中が痛くなる」
ハンスはその馬車を扱っているだけによく知っていて答えた。
「そうなるな」
「けれどあの人の店の馬車はな」
行商人はさらに話した。
「馬車の中に藁とシーツを敷いていてな」
「そうしてか」
「柔らかいんだよ」
「そうなのか」
「木の板の上にずっといるよりな」
「ああ、藁とシーツだとな」
ハンスも頷いた。
「確かにな」
「ずっといいだろ」
「そうだな」
「そういう理由でな」
「一度あいつの店の馬車に乗るとか」
「またこの街に来てな」
馬車を利用する時はというのだ。
「乗りたがるんだよ」
「そういうことか」
「ああ、参考になったか」
「かなりな」
ハンスは笑って答えた。
「そういうことか、じゃあわしもな」
「あんたもだな」
「これからはそうするか」
「商売の為だな」
「努力しないとな」
行商人に難しい顔で言った。
「駄目だ、じゃあな」
「あんたの馬車もか」
「そうするな、ただな」
ここでハンスはこうも言った。
「藁を敷くとそれはそれでな」
「どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもな」
難しい顔で話した。
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