第一章
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母の木
ケンタウロスの姿をした神であり賢者として知られてるケイローンは常に菩提樹を大事にしている。
自身の家にある菩提樹の木だけでなくその木を見付けると常に大事にしていた、その姿を見てだった。
最近彼に仕える様になった若いケンタウロスの青年、ポッピオスという名の彼は友人達に言うのだった。
「兎に角ご主人様は菩提樹がお好きで」
「いつも大事にしているのか」
「そうなのか」
「そうなんだ、何故かね」
こう言うのだった。
「本当にね」
「あの方は立派な方でね」
「聡明で穏やかで」
「まさに賢者だよ」
「知識は豊富で」
「武芸も出来て」
「そう、そんな方でね」
人格も教養も立派でというのだ。
「心から尊敬出来る方で」
「その方が何故菩提樹を大事にされているか」
「それが不思議なんだね」
「どうにも」
「そうなんだ、どうしてかな」
ポッピオスはクビを傾げさせながら思って言った。
「一体」
「まああの方にも色々あるだろうね」
「好みとかね」
「あと学問のことで何かあるとか」
「そういうのじゃないかな」
「そうなのかな」
友人達の話を聞いてだった。
ポッピオスは尚更何かと考えた、そんな中でだった。
彼はケイローンの使者で家庭の女神であるヘラの神殿に赴き女神にことづけをした、するとだった。
牡牛の様な目を持ち見事な金髪と肢体を持ち穏やかな熟した顔立ちの女神から使者として労いの言葉を受けてだった。
そのうえでだ、彼女に問われた。
「そなたケイローン殿が菩提樹の木を愛しているのは何故かと考えていますね」
「ご存知でしたか」
「少し小耳に挟んだので」
女神はポッピオスに微笑んで述べた。
「ケンタウロス達がそなたのことを話していて」
「そうしていたか」
「盗み聞きするつもりはなかったのですが」
「そうでしたか」
「はい、そしてです」
女神はさらに言った。
「そのことですが」
「ヘラ様はご存知ですか」
「私は小耳に挟むこともあれば見てしまうこともあります」
苦い顔になってだ、ヘラは述べた。
「そうした巡り合わせかも知れませんね」
「ヘラ様は」
「因果なもので」
こう前置きするのだった。
「それでなのです」
「ケイローン様のことをご存知ですか」
「はい」
そうだという返事だった。
「貴方の主が菩提樹を愛するのは愛情です」
「愛情といいますと」
「母親に対する」
そうしたものだというのだ。
「そうなのです」
「お母上のですか」
「はい」
まさにといのだ。
「実は」
「菩提樹がですか」
「遠い昔のことでした」
ヘラは今度はこう言った。
「彼の両親のことは知っていますね」
「はい、
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