第六章
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「何の意味があるんだ」
「ないわね」
「あるなんてな」
「誰も思わないわね」
「戦争中や直後は食えなかったよ」
自分の子供の頃を言うのだった。
「あの頃はな」
「そうだったわね」
「それでもな」
「今やるのはね」
「何の意味があるんだ」
「白いご飯は栄養がないとか」
「脚気か」
「白いご飯ばかり食べてるとね」
妻は夫に言った。
「脚気になるでしょ」
「それならおかずで栄養摂れるしな」
「皆そうしているわね」
「それをな」
「禁止して意味があるのか」
「わしにはわからないんだがな」
「そう言われると私もよ」
妻も言った。
「立浪さんのそのこともね」
「他のこともでだな」
「ええ、変なことするわね」
「西武も森さんになったらな」
「監督が代わったら」
「白米解禁したらしいしな、ただな」
ここで杉下は妻に話した。
「広岡さん制限でな」
「全面禁止じゃなかったの」
「ちゃんと勉強して考えて」
そうしてというのだ。
「玄米や野菜がいい、試合前は果物とか軽食でいいってな」
「してたのね」
「肉だってな」
広岡は肉食を禁止したがというのだ。
「制限でな」
「禁止じゃなかったのね」
「煙草は禁止で酒も休み前以外はな」
「禁止ね」
「そうしたけれどな」
それでもというのだ。
「白米だってな」
「制限で」
「全面禁止じゃなかったんだよ」
「立浪さんとは違うのね」
「感情論じゃなくて勉強してな」
そうしてというのだ。
「考えたし選手が反発してもな」
「それでもなのね」
「いいと思った選手は起用していたしな」
「立浪さんとは違うわね」
「大体広岡さんでも若いピッチャーが十点も打たれるなら」
そうした事態に陥るならというのだ。
「止めるしな」
「そうするわね」
「立浪さんとは全然違うさ」
「同じ白米がどうとかでも」
「制限と禁止じゃな」
それならというのだ。
「本当にな」
「全く違うわね」
「そうだよ、こんなのだとな」
「ドラゴンズ来年も危ないかしら」
「試合中に水飲むなとかも言うしな」
「何か今の野球じゃないわね」
「ああ、暗黒時代になるのも当然だな」
妻に苦い顔で言ってだった。
白米を食べた、その白米は美味かったがドラゴンズの選手達それも禁止されている野手達に食べて欲しいと思ったのだった。
そして九月終盤になってドラゴンズの試合を球場で観て一緒にいた妻に言った。
「バンテリンは来年もな」
「寒いままね」
「ああ、こんなのだとな」
ピッチャーの好投も空しく完封負けを喫した試合の後で言った、ゼロが並んだそこに来年のドラゴンズも観て言うのだった。
中日暗黒時代 完
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