第百十七話 お巡りさんの名前その十
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「ベンチで暴れたんだ」
「それでその後川相さんが整理していて」
「堀内がそれを見てな」
「川相さんがやったと思って」
「いきなり訳も聞かないでな」
そうしてであったのだ。
「川相の背中から飛び蹴りだ」
「無茶苦茶ですね」
「これが堀内って奴なんだよ」
「最低ですね」
「それで巨人の監督になって散々でな」
いいところなぞ何一つなかった、まさに愚将の極みだった。
「そこからも学ばないでな」
「今お爺ちゃんですね」
「政治家にもなったけれどな」
参議院で立候補してだ、比例で当選している。
「その時もな」
「変わってないんですね」
「本当に若い頃のままの奴なんだ」
「そこから成長していないんですね」
「幾ら実績があってもな」
「そこから学ばないと駄目ですね」
「だから堀内は駄目なんだ」
そうだというのだ。
「口が汚いだけでな」
「何もないんですね」
「本当にあるのはな」
それはというと。
「権力に諂ってな」
「だから監督になって」
「他には何もないんだよ、ずっとコーチやってきたけどな」
巨人だけでだ、巨人以外の野球の空気なぞ知らないし基本的に興味がないのもまた堀内という輩である。
「誰も育ててないし作戦もな」
「駄目なんですね」
「コーチとして何かしたなんてな」
それはというと。
「精神論とシゴキだけだな」
「そのまま昭和ですね」
「昭和から一歩も出ないんだよ」
それも自分の現役時代からだ。
「それで選手も育たないし作戦もな」
「ないんですね」
「それで監督やったからな」
「巨人は駄目になったんですね」
「ああ、名選手が名監督は限らないけれどな」
野球においてよく言われることである。
「堀内はな」
「その典型ですね」
「ああ、ああなったら駄目だよ」
堀内の様にはというのだ。
「本当にな」
「若い頃のままだとですね」
「ずっとな、そこから色々とな」
「学んでいくことが大事ですね」
「何でもな」
「実績があってもそうすることですね」
「あと悪いこともな」
こちらもというのだ。
「あの番長みたいにな」
「したら駄目ですね」
「ああして転落するからな」
「本当に転落しましたね」
「ああ」
マスターもそうなったと答えた。
「あいつはな」
「そうですよね」
「西武の時はよかったんだよ」
この頃はというのだ。
「若きスターだったんだよ」
「今から考えると嘘みたいですね」
「ああ、球界をしょって立つな」
実際に当時の彼はそうした扱いだった。
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