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第三十六話 隻眼その四

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「やはり彼はね」
「星ちゃんはそうした人だからね」
 北斗は首を左に傾げさせ笑って答えた。
「だからね」
「素直ではないね」
「それでいて決めたことはね」
「簡単には変えない」
「そうなのよ」 
 彼はというのだ。
「そうした人なのよ」
「その通りだね」
「それで昴流ちゃんは」 
 北斗から彼のことを話した。
「あれで頑固なところがあるから」
「ああしたんだね」
「それで右目は」
「駄目だよ」
 牙暁は首を横に振って答えた。
「もうね」
「そうなのね」
「ただ。また運命が変わって」
 そうなってというのだ。
「角膜移植を受けるとね」
「また見える様になるの」
「そうなったよ」
「昴流ちゃんの運命も変わったのね」
「そうだよ」
「そうでしょ、本当にまだ何もね」
 北斗はまさにとだ、牙暁に答えた。
「決まってないのよ」
「そう思えてきたよ、僕も」
「そうよね」
「だからこれからのこともね」
「希望持ってるよね」
「そうなってきているよ」
 微笑んでの言葉だった。
「本当にね」
「だったらね」
「その希望を持ってだね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「これからも夢見をしていってね」
「そうだね、君のことで絶望したけれど」
「元々は昴流ちゃんが星ちゃんをだったし」
「その時点で変わっていたんだね」
「私が今みたいになってね」
 それでというのだ。
「そうなのよ」
「そうだね。じゃあ希望を持って」
「見ていこうね」
「そうしていくよ」
 牙暁の言葉は今は明るかった、そしてだった。
 昴流が手術を終えて医師から話を聞いた天の龍の者達は深刻な顔になっていた、そうしてクランプ学園の洋館で言うのだった。
「失明か」
「ええ、けれど角膜を移植すればね」
 火煉が神威に話した。
「そうすればね」
「また見える様になるな」
「そうなるわ」
 実際にというのだ。
「またね」
「そうか、それならよかった」
「勿論アイバンクの順番があるから」
 火煉はこのことも話した。
「待たないといけないけれど」
「順番が来るとか」
「移植してもらってね」 
 角膜、それをというのだ。
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