第三十六話 隻眼その三
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「きっとです」
「乗り越えてくれるんだ」
「僕がどうなっても」
「僕は悲しんでずっと忘れないよ」
「それは有り難いです」
星史郎は牙暁の今の言葉に心から喜んで応えた。
「僕も。ですが」
「それでもなんだ」
「忘れてもいいですよ」
「君としては」
「はい、牙暁君も前向きにです」
その様にというのだ。
「生きて下さい」
「そう言うんだね」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「若し目覚めることがあれば」
「この世界でだね」
「明るく生きて下さい」
「その言葉も忘れないよ。今君の本質もわかったよ」
それもというのだ。
「はっきりとね」
「その本質とは」
「君はとても優しくて人の心がわかっている人だよ」
「人の痛みがわからないのが僕ですが」
「君は嘘吐きだと自分で言ってるからね」
ここではだった。
牙暁は目を開けた、そうして星史郎を見てその上で微笑んで話した。
「君の今の言葉こそがね」
「嘘ですか」
「そうだよ、けれど君の言う通り起きた世界にいられるなら」
「存分に楽しまれますね」
「それでも夢見として生きることになると思うけれど」
それでもというのだ。
「起きた世界をね」
「満喫されますね」
「そうするよ」
絶対にというのだ。
「本当にね」
「それではそうされて下さい」
「うん、そして何度でも言うよ」
牙暁は星史郎にあらためて言った、今度は真剣な顔と目になり声もそうさせてそのうえで彼に言うのだった。
「君はね」
「ずっとですか」
「いるべきだよ」
「そうですか」
「そのことを地の龍の誰もが願っているよ」
「皆さん優しい人なので」
「そうだよ。だからね」
それ故にというのだ。
「君がどうかなることは」
「望んでいないので」
「僕もそうだからね」
そうした考えだからだというのだ。
「何度でも言うし」
「望まれますか」
「彼女もね」
「そうですか。あの人も」
「僕と同じ気持ちだよ」
牙暁と、というのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
「ずっと友達としてこの世にいよう」
「そうしないと駄目ですか」
「宜しく頼むよ」
「返答しなければいけないでしょうか」
「君に任せるよ」
「ではまたの機会に」
これが星史郎の返答だった。
「そうさせて頂きます」
「わかったよ。ではね」
「はい、また」
「お話しよう」
「それでは」
こうした話をしてだった。
星史郎が深い眠りに入ると話を終えた、そしてだった。
牙暁は北斗と会った、そして彼女とも話した。
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