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子烏を助けて
第二章

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 アンバーは雛を治療し世話をしていった、親も一緒にいられる様にして。
 そうして雛は怪我が治って空を飛べる様になって親兄弟のところに戻った、アンバーはその光景を見て笑顔になったが。
 夫にだ、ある日空を指差して言われた。
「烏達が来てるけれどな」
「まさか」
 その彼等を見上げてだ、アンバーは言った。
「私が保護した」
「あの雛の一家だな、お隣さんのところから来てるしな」
「じゃあ間違いないわね」
「ああ、そうだな」
「私が助けたから恩を感じてるのかしら」
 それは嬉しいと思っているとだ。
「カァ」
「カァカァ」
「烏が鳴いてるところの下に行くとな」
 夫は妻に話した。
「コヨーテがいてな」
「追い払ったのね」
「俺達は襲わないけれどな」
 コヨーテはというのだ。
「保護してる子達は襲うからな」
「そうよね」
「そのコヨーテの場所をな」
 それをというのだ。
「教えてくれるからな」
「有り難いわね」
「ああ、本当にな」
「前に鷹がいた時も」 
 妻も妻で話した。
「皆で寄って追い払ってくれたし」
「それじゃあな」
「ええ、私が助けたから」
「恩を感じてな」
「そうしてくれるのね」
「そうだな」
「誰かを助けたら」
 それならというのだ。
「本当にね」
「自分にも返って来るな」
「そうよね」
「そのことも嬉しいな」
「本当にね、それじゃあ」
「これからもな」
「私達のやるべきことをやっていきましょう」
 夫婦で烏達を見上げて笑顔で話した、そして。 
 ある日保護区の中屋外で働いていたアンバーのところに烏の一家が来た、特にあの助けてもらった子マックスと名付けられた彼がだった。 
 アンバーに寄り添ってきた、アンバーはその彼に顔を向けて笑顔で尋ねた。
「今も私のことが好きなのね」
「カァ」
 マックスはその通りという風に鳴いて応えた、そしてそのうえで彼女と共にいた。一家で彼女がその場にいる間そうしたのだった。
 アンバーが移ると彼等は飛び去った、だがそれからも時々そうして共にいる時間を過ごしたのだった。


子烏を助けて   完


                    2023・9・25
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