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仮面ライダーAP
夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第5話
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 この使用方法は、フィロキセラ怪人のような近接戦闘タイプの相手と戦う場合、これ以上ない「悪手」となる。相手の間合いに飛び込んだ時点でストライクターボの効果時間が切れるのだから、せっかくの火力が無駄になってしまうのだ。

 しかし、基本性能においては旧型の外骨格に過ぎず、新世代ライダー達には遠く及ばないスナイパースパルタンに対しては、唯一無二の有効打となる。接近戦に秀でていたフィロキセラ怪人とは逆で――近付くことさえ出来れば、どうとでも「料理」出来る相手なのだから。

(ええいッ、もう急所でなくても良いッ! タキオンのように、身体のどこかにさえ当たれば良いッ! とにかく早く、早く1発をッ……!)

 焦燥のあまり、「狙う」という狙撃手としての本懐すら見失ったホークアイザーが、とにかく引き金を引こうとする。

「うぉおおおおおおーッ!」

 だが、その指先よりも僅かに疾く。ついに彼の眼前に辿り着いたターボが、雄叫びと共に鉄拳を振るう。唸りを上げて振り抜かれたその一撃が、青い鉄仮面に炸裂した。

「ぐが、ぁッ……!」

 必殺技と呼べる威力ではない、ただのパンチ。他の怪人相手ならば軽いフックにしかならない、力任せな打撃。だがスナイパースパルタンの貧弱な装甲に対しては、その程度の攻撃でも形勢を覆す「決定打」となる。

「うぉおるらららららららぁあぁあーッ!」

 ストライクターボの加速を得た真紅の剛拳は、スナイパースパルタンの仮面を一瞬で粉砕していた。それだけには留まらず、ターボは仲間達の想いと怒りを込めた鉄拳の乱舞を繰り出して行く。

「ぐわあぁあぁあぁあーッ!」

 頭部を除く全身に拳打の嵐が打ち込まれ――やがて勢いよく吹き飛ばされたホークアイザーの身体が、無数の木々を打ち倒して行くのだった。

「が、がはっ……!」

 木々を薙ぎ倒しながら徐々に減速して行く彼の身体は、岩壁に叩き付けられようやく完全に停止する。一瞬にして満身創痍となったホークアイザーの身体が、ずるりと地面に滑り落ちて行く。誰の目にも明らかな、完膚なきまでの「ノックアウト」だった。

(……こんな、こんな馬鹿なッ……! 奴はG-verYが撃たれた時、誰よりも激しく取り乱していたはずだ……! あの狼狽は、俺の意表を突くための芝居だったのか……!?)

 仮面を破壊され、怜悧な美貌を露わにされたホークアイザーはわなわなと身体を震わせ、己の双眸で自身を打ち倒した男を射抜く。彼が露わにしている驚愕の表情は、「信じられない」という剥き出しの感情をありのままに際立たせていた。

(いや……俺の眼に狂いは無い。奴は間違いなくあの時、冷静さを欠いていた。奴は……この僅かな時間の中で、俺の予測を超えるほどにまで「成長」していたのだッ……!)


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