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仮面ライダーAP
夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第5話
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確に俺に命中させることは不可能ッ! これだけの距離があれば、俺の狙撃は十分に間に合うッ!)

 それでもホークアイザーは平静を保ち、巧みな身のこなしでエネルギー弾をかわしながら、再び狙撃銃を構え直して行く。ターボはエネルギー切れを起こしたシャフトブレイカーを投げ捨て、全力疾走で突っ込んでいた。

「……おおぉおぉおッ!」
「なに……!? 馬鹿な、あの機能は……!」

 狙われていると分かっていても構わず突撃して行くターボは足裏のエンジンを全開にして、必殺技「ストライクターボ」を発動させて行く。本来ならその状態での回し蹴りで相手を仕留める技なのだが――まだホークアイザーとの間には、かなりの距離がある。

 こんな遠距離で必殺技を発動させても、届くはずがない。仮にホークアイザーの狙撃をかわして、ストライクターボが命中する距離まで近付けたとしても、その頃にはすでにエネルギーが切れているだろう。

(……ふっ、愚かな。勝負を急ぐあまり、勇み足で必殺技を発動させたのだろうが……この距離ではお前のキックなど届くはずがないだろう!)

 そんな彼の無謀としか言いようがない行動に対し、ホークアイザーは仮面の下で余裕の笑みを浮かべ、悠然とした佇まいでスコープを覗き込んでいる。彼の眼にはターボの行動が、悪足掻きにしか映らなかった。

(さぁ、眉間を撃ち抜いて一瞬で楽に――!?)

 その慢心が、命取りとなった。スコープを覗いた先に居たターボは、ホークアイザーの予測を遥かに上回る速さで接近していたのである。タキオンのような加速能力など無いはずだというのに、ターボはそれまでとは比べ物にならない速度でホークアイザーに急接近していたのだ。

(なッ……!? 馬鹿な、ターボにそんな能力は無いはずだッ! 一体これはッ……!?)

 予想だにしなかったターボの速度に、ついにホークアイザーの平静が崩れる。焦燥を露わにしながらもスコープを覗き続け、ターボの動きと状態を観察していた彼は、即座に速さの理由に気付く。

(な、何ィィィッ……!? 奴は己の必殺技(ストライクターボ)で「敵」ではなく……「地面」を蹴っているッ! 本来、敵に直接ぶつけるための衝撃を……「攻撃」ではなく、「移動」に使っているのかッ!?)

 ターボはストライクターボのエネルギーを宿した両脚で、地面を蹴って全力疾走していたのだ。敵に当たれば一撃必殺となる威力の蹴りを移動に応用すれば、生み出される速度は従来の比ではない。

「……ふん、あの阿呆が」

 タキオンの加速能力にも肉薄するほどの速度を得たターボは、人型の弾丸と化して風を切っていた。その勇姿を目の当たりにしたタキオンは、脇腹を抑えながらも仮面の下で不敵な微笑を溢している。全て、「作戦通り」だと言わんばかりに。

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