夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第3話
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で、私も処分に困っていたのだよ。そこで……アイアンザック中将には、そいつらの「世話」を頼んでいたのさ。多額の資金援助や、スパルタン計画の復活と引き換えに……ね』
「……いくら貰っても割に合わないわよ、こんな連中の『世話』なんて」
真凛がその異様な怪物の群れに瞠目する一方、斉藤はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。彼が「失敗作」と呼ぶ謎の虫達は、フィロキセラ怪人の類だとは到底思えない容貌だ。フィロキセラ怪人というよりは、その遺伝子の源流とされるブドウネアブラムシがそのまま巨大化したような姿に見える。
「……良い趣味だわ。反吐が出る」
青緑の体色に知性が感じられない双眸、針状の口、そして人間の男性のような形状である6本の手足。どれを取っても生理的嫌悪感しか湧かない、グロテスクな外観だ。
しかも真凛の肉体に「欲情」しているのか、彼らは真凛の肢体をねぶるように観察し、下卑た悪漢のような挙動まで見せている。そんな虫の仕草に嫌悪感を露わにする真凛は、露骨に怪訝な表情を浮かべていた。
『本来、産業廃棄物に与える名など無いのだが……敢えて呼ぶなら、「フェイリアγ」とでも言おうか。そいつらは君のような肉付きの良い雌豚が特に好物でね。どうやら彼らも、大いに湧き立っているようだ。罪な女だねぇ、君も』
「……自分で出した生ゴミくらい、たまには自分で処理しなさい。ズボラな男はモテないわよ」
『ふっ、言えている。では君が死んだ後、ゆっくりと部屋の掃除でもしよう。さよならだ、美しく哀れな元捜査官殿』
その冷淡なやり取りを最後に、モニターの映像がプツンと切れた瞬間。通信の終了を合図に動き出した大量の虫――フェイリアγが、一斉に真凛目掛けて襲い掛かって来る。彼女は即座に華麗なバック宙で初撃の針をかわし、先頭の虫にナイフを投げ付けていた。
「……ふッ!」
チャイナドレスのスリットから覗く白い太腿。その美脚に装備されていたナイフが、瞬く間に虫の頭部に突き刺さる。改造人間とも呼べない文字通りの「失敗作」は、そんな攻撃にも耐えられなかったのか、ひっくり返るとモゾモゾともがき苦しみ、そのまま絶命してしまう。
「……ちっ、数が多過ぎるわ!」
だが、フェイリアγの脅威は個々の戦闘力ではなく、その圧倒的な数にある。一斉に羽ばたきながら真凛を付け狙う虫の大群。そのうちの1匹が、真凛を組み伏せようと前脚を広げて飛び掛かって来た。
「はぁッ!」
その殺気に反応し、地を蹴って空中で身体を捻る真凛。彼女はその回転による遠心力を乗せた後ろ回し蹴りで、襲い掛かって来たフェイリアγを華麗に蹴り飛ばしてしまう。蹴りが炸裂した瞬間、釣鐘型の爆乳と安産型の爆尻が反動でどたぷんっと弾み、ウェーブが掛かった黒髪のロングヘアが艶や
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