夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第3話
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の島の裏側を嗅ぎ付けていたようだね。対策室を除名されてもなお、我々を付け狙うとは見上げた正義感だ。かつては、対策室最強の女傑……と恐れられていただけのことはある』
「……なるほど。この島の兵士達がノバシェードの思想に汚染されていたのは、あなたの仕業だったのね。ノバシェードの現幹部にして、組織における怪人研究の第一人者……斉藤空幻」
剣呑な面持ちでモニターを睨み上げる真凛に対し、斉藤空幻と呼ばれた男は冷たい微笑を浮かべている。1年前にアイアンザックと接触し、資金援助とスパルタン計画の復活を持ち掛けていたのは、この男だったのだ。
明智天峯、上杉蛮児、武田禍継。ノバシェードの首領格だった彼らを失った後、斉藤は約11年前に旧シェードの怪人軍団と「相討ち」になっていたという、スパルタンシリーズのポテンシャルに目を付けていた。
そこで彼は、スパルタンシリーズの開発責任者だったアイアンザックや、この島に「左遷」された兵士達を取り込むことで、天峯達の敗北により減衰していた組織の軍事力を補おうと目論んでいたのである。そして彼の狙い通り、このシャドーフォートレス島に配属されていた全ての陸軍兵士達が、ノバシェードの尖兵と化していたのだ。
『汚染? ふっ、人聞きの悪いことを言う。私は人間社会から追放され、島流しにされていた哀れな彼らに「生き甲斐」を与えたのだよ。その上、この島に多額の資金を提供し……11年前に凍結・抹消されていた旧時代の骨董品を現代に蘇らせてあげたのだ。いくら感謝しても足りないぐらいではないか?』
「そうやって差別を受けている改造被験者達の弱みに付け込み、闘争心を煽り、テロリストに仕立て上げる。……実に下劣な発想ね。あなたを『怪人』たらしめているのは改造された身体ではなく、その腐った心根よ」
『ふふっ……はははっ、対策室から除名された雌豚がどの口でほざくか。……そんな君の相手に相応しいゴミ共がそこに居る。存分に楽しんでくれたまえ』
斉藤の魂胆をすぐに見抜いた真凛は、冷淡に彼の思想を否定する。そんな彼女の言葉を冷たく笑い飛ばしながら、斉藤は真凛が居る倉庫を指差していた。
「……っ!?」
『そのフロアに上手く忍び込めたつもりでいたのだろうが……君はすでに、囚われの身となっていたのだよ』
すると――フロア内の物資の陰から、無数の「虫」がゾロゾロと這い出て来る。だが、そのサイズは明らかに普通の虫のそれではない。人間、それも成人男性ほどの体格を持った、異様に巨大な虫であった。どの個体も、全長180cmはある。
『私はフィロキセラ怪人の量産化を視野に入れた研究も進めていてね。その実験の「失敗作」は凶暴な奴らばかり
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