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仮面ライダーAP
夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第1話
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事変(・・)」と呼ばれたこの戦いの後に退役し、消息を絶った。それから約10年後――すなわち今から約1年前に当たる、2019年頃。旧シェードの改造被験者達による自助組織を前身とする武装集団・ノバシェードは、明智天峯(あけちてんほう)を筆頭とする首領格3名を新世代ライダー達に倒され、混迷の時を迎えていた。
 そんなノバシェードの混乱を抑えつつ、幹部格の1人として組織の一部を纏めていた天才科学者――斉藤空幻(さいとうくうげん)は突如、このシャドーフォートレス島で燻っていたアイアンザックに接触して来たのである。無知な世界にスパルタンシリーズの真の素晴らしさを教えてやらないか、と。そんな悪魔の誘いに、アイアンザックは容易く乗せられてしまったのだ。

 そして、この島で開発されたのが――アイアンザックが夢に描いたまま、机上の空論(ペーパープラン)となっていた「ミサイルスパルタン」。そして旧シェードとの戦いで一度は破壊された試作機の一つに当たる、「スナイパースパルタン」だったのである。
 ミサイルスパルタンの基本形態(コアフォーム)に当たる外骨格はアイアンザックの物となり、スナイパースパルタンの外骨格はホークアイザーの鎧となっている。旧時代の外骨格を装着している2人の男は、一触即発の空気の中で視線を交わしていた。

 艶やかな銀髪を靡かせる絶世の美男子。そんなホークアイザーの左眼に装着された漆黒の眼帯と、その周りに残っている深い傷跡は、彼が歩んで来た戦いの歴史を強く物語っている。だが、そんな彼の飄々とした佇まいに、アイアンザックは眉を顰めていた。

「……対策室の手先の他にも、この島に潜り込んで来たネズミが居たというのか?」
「司令もご存知の通り、この島のレーダーやソナーは老朽化が著しく、我々に言わせればほとんど使い物になりません。……『私の眼』でなければ、見逃してしまうところでしたな」
「……」
「あぁ、ご心配には及びません。部下達にはすでに、これも司令の指示であると伝えております。……あなたの目が『節穴』だとは、誰も思ってはおりませんよ」

 眼帯に覆われた左眼を指差しながら、ホークアイザーは冷ややかな微笑を浮かべてアイアンザックの傍らを通り過ぎようとする。そんな彼を鋭く睨み付けたアイアンザックは懐から水平2連銃を引き抜き、真横を通ろうとしたホークアイザーのこめかみに銃口を突き付ける。
 しかし銀髪の美男子は、動じることなく右眼でちらりとアイアンザックの方を見遣っていた。撃てるものなら撃ってみろ、と言わんばかりの態度にアイアンザックの青筋が浮き立つ。

「……貴様のそういう、何もかも見透かしたような『眼』が気に食わん。旧シェードの玩具にされていた敗北者が、偉そうな口を叩きおって。その旧式外骨格(スパルタン)を貴様に預けたのは
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