敢闘編
第七十一話 勝者のない戦い
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左右両翼はいつでも飛び出せる、って印象を受ける……突破では無くがっぷり四つに殴り合う気なのか?
「敵さん、まともにやりあうつもりらしいな」
「ああ、停止して陣形を変えるなんて、そうとしか考えられない」
いつの間にか俺のすぐ横にはマイクとオットーが並んで立っている。二人の意見は俺の印象を肯定していた。
「二人共そう思うか」
「ああ」
「だが、陣形を変えているのはヒルデスハイム艦隊だけだ。奴等は何がしたいんだ?」
確かに陣形を変えているのはヒルデスハイム艦隊だけだ。概略図に映る他の帝国艦隊には変化がない……ん?概略図からシュトックハウゼン艦隊が消えかかっている……。
「概略図の投影範囲を拡げてくれ」
「ん?了解した」
オットーが急いで概略図の投影範囲を調節した…シュトックハウゼン艦隊は最初の位置から動いていない。クライスト艦隊もそれは同様だった。
「後方の二つの艦隊は動いていないな」
「そうだな、縦に間延びしている」
何なんだこれは…今度はゼークト、ギースラー艦隊が動き出した。両艦隊は、ヒルデスハイム艦隊の両翼の後方にそれぞれが遷移しつつあった。三つのが艦隊がそれぞれを頂点に、二等辺三角形のような位置関係を作り出していた。二つの艦隊はいつでもヒルデスハイム艦隊を援護出来る位置にある…。後ろのシュトックハウゼン、クライスト艦隊は後方にあって動いてはいない。何なんだ一体…。
”敵が停止しました!……僅かずつですが後退しています“
後退……?
「……各艦隊に通達。先程の命令を取り消す。射撃管制を通常に戻せ。命令、各艦隊は艦隊速度強速にて前進せよ」
「おい、ヤマト」
どうした、とオットーが言いたげだったが今は気にしていられない。敵は……。
13:30
銀河帝国軍、遠征軍、ヒルデスハイム艦隊、
旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
“叛乱軍艦隊、前進!まもなく射程圏内に入ります……入った!”
「撃て!」
敵の前衛は二個艦隊、位置関係が変わっていた。右翼は第二艦隊、左翼は第十二艦隊。その後方に我々に叩かれ続けていた第一艦隊…。
我々の一点集中砲火を受けた第二艦隊は、陣形の中央部に大きな穴が開いていた。敵の取った戦法を真似た訳だが、効果は絶大だった。横陣として左右に広がっていた為に陣形に厚みがなく、開いた穴は敵第二艦隊を完全に分断していた。
「真似してみるものだな。射撃管制を通常に戻せ。アントンに連絡、前進せよ。敵の左翼には本隊とベルタで対応する」
上機嫌な伯爵は第二艦隊の醜態を見逃さなかった。自分達が使用した戦法をすぐに真似されるとは思っていなかったのだろう、敵の右翼は前進を止めて後退に転じていた。こうなっては敵の左翼は下がる訳にはいかない。ある程度踏みとどまって第
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