敢闘編
第七十一話 勝者のない戦い
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った。
一番傷の浅いヒルデスハイム艦隊が前衛か!
「各艦隊に連絡、後退せよ。後退しつつ陣形を再編、第二、第十二各艦隊は横陣形を取れ。第一艦隊は急速反転し更に後退、第十二艦隊の後方につけ」
敵味方共にお互い有効射程圏外からかなり距離を取っているから、陣形の再編は間に合うだろう。先鋒はヒルデスハイム艦隊か…信じ難い事だがあの艦隊は今の帝国艦隊の中では有力な艦隊だ。トップは平凡な大貴族でもスタッフが優秀だからな…それに一昨年から連戦し続けてその練度は高い。イゼルローンの時も殿戦を任されていた。
「敵さんは遮二無二突破を目指す様だな」
マイクは何故か舌なめずりしている。緊張しているのか面白がっているのかどっちなんだ?
「ああ、敵先鋒は約一万四千隻、嫌になるな。フォーク、このまま状況が推移した場合、予想会敵時刻はどれくらいだ?」
「そうですね…こちらは後退していますから、約一時間有るか無いか、ではないでしょうか」
一時間…ふむ…後退し続ける訳にもいかない…。
「オットー。ちょっとさ、強いヤツを頼むよ」
「強いヤツ?…ああ、待っててくれ」
オットーが艦橋を出て行く。ちょっと気付けに一杯やって……早いな、もう持って来たのか。
「ありがとう………何だこりゃ!」
「強いヤツって言うから、一番気付けにいいやつと思ったんだが……駄目だったか?」
ブランデーを想像してたのに、何でロンリコなんだよ!…
そもそも何故ロンリコなんてこの艦は積んでるんだ?くそ、喉が焼ける!まあいい、気付けにはなった!
「いや、気合いが入ったよ、ありがとう……よし、全艦隊に通達。全艦陣形固定後、現座標で停止せよ。各艦隊は旗艦にて射撃管制を行え。照準座標を固定する。目標、敵先頭艦。目標が有効射程に入り次第、各艦隊は発砲せよ。斉射三連、射撃命令を待て」
「了解した…二万隻で一点集中砲火か。見物だな」
「第二艦隊にお手本を見せてやろうと思ってね」
オットーは笑っていたけど、中々使う機会がないからな。使用してもその場では一度限り、使用条件も限られるんじゃ中々主要戦術足り得ない。
”敵艦隊、増速の模様。イエローゾーンに入ります。敵前衛艦隊、味方有効射程圏内まで約十分“
十分か…長いな。戦闘中はどの局面でもそうだけど、やたらと時間が長く感じる。戦闘開始から一時間経ったかな、なんて思ってもまだ二十分も過ぎていない、なんてザラにある。その二十分という短い時間で戦いの潮目が変化する、なんて事もしょっちゅうだ……なんだ?停止?
”敵艦隊停止!陣形を変える模様“
オペレータの金切り声が、概略図の敵状の変化を如実に表していた。敵先頭のヒルデスハイム艦隊が陣形を再編しようとしている。本隊は横陣、右翼、左翼は円錐陣…中央は大きく左右に広がりつつある…艦隊としては横陣だけど
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