敢闘編
第七十一話 勝者のない戦い
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きい。ルーカス司令長官代理の方針は防衛が基本方針なのだから、これはこれでよしとすべきなのだが…。
既に第九艦隊はヴィーレンシュタインに向けて移動を開始している。現地到着は明日未明。アストライオスには此方の動向を報せてあるが、中途半端なのは否めない。済まない、ウィンチェスター……。
7月1日12:30
銀河帝国軍、遠征軍、ヒルデスハイム艦隊、
旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
“伯が殿を務めると申されるのか”
「総司令官は全軍を連れて戻らねばなりませんぞ」
“それはそうだが”
「自慢ではないが、私の艦隊が最近では一番戦い慣れていると自負しておるのでな。此処は私に任せて頂きたい」
“…承知した。無理はなさらぬよう”
「叛徒共と心中する気はない。頃合いを見て退く故、安堵なされよ」
“武運を祈る”
総司令官クライスト大将との通信が終わると、伯は俺達に向き直った。
「卿等がまだ戦い足りなさそうなのでな、つい殿を引き受けてしまったが…まずかったかな?」
伯の言葉に参謀長が笑い出した。
「いえ。戦い足りないのは閣下の方ではございませんか?」
「はは…それにこのまま逃げ帰ったのでは無名の出師という事になる。殿を務めつつ、敵に出血を強いる。よいな」
「はっ!」
確かに我々は不完全燃焼だった。とは言え味方を守って死ぬつもりは毛頭無い。それに伯の言う通り、このまま逃げ帰ったのでは出撃したのは何の為だったのか、という事になる。多分に政略的な遠征だったからこそ、何らかの結果は残さなくてはならないのだ。出血を強いる…いいじゃないか。
7月1日13:00
自由惑星同盟軍、アムリッツァ駐留軍第一任務部隊、
旗艦アストライオス、宇宙艦隊司令部、
ヤマト・ウィンチェスター
マイクが通信文を手にしている…なんでそんなに済まなそうな顔をしているんだ?第九艦隊から?
…ふむふむ、成程、ヤンさんはヴィーレンシュタインへの進出を進言したのか。有難い事だ、蓋をしようと思ったんだろう……ん?第九艦隊のみ??……全艦隊、いやせめて二個艦隊いないと進出する意味がないぞ…そうか、ヤンさん達では弱かった…。俺はまだともかくヤンさんはまだ佐官だからな、上に受けのいいワイドボーンがいても進言を通せなかったか…まあ、ヤンさん自身が乗艦している第九艦隊が進出してくれるのはありがたい…んん?
「ヤマト、敵が動き出した…あれは攻勢準備をしているんじゃないのか」
マイクが珍しく緊張を露にしながら概略図を指差している。敵は前衛にヒルデスハイム艦隊、中段に横並びでゼークト、ギースラー艦隊、その後ろにクライスト艦隊、最後尾はシュトックハウゼン艦隊…全艦隊で紡錘陣形を形成しつつあ
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