敢闘編
第七十一話 勝者のない戦い
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「よし。全艦後退。各艦隊は再編成を行い、被害状況を報告せよ。その後別命あるまで待機」
「了解、示達する」
残念な事だけど、喪った艦艇数はすぐに集計が出る。問題は損傷を受けた艦艇だ。後送するのか、応急修理後に戦列復帰可能なのか。人員の損害はどれ程なのか…この状況次第でこの後の戦力見積りが変わる。例えば第一艦隊は約四割の損害を出したけど、四割の艦艇を喪失したのか、喪失艦艇を含めて四割の損害なのか、という事だ。喪失艦艇を含めて四割なら、幾らかは応急修理後に戦力として期待出来る……つくづく戦争、指揮官というものが嫌になる。報告は数字だけど、その数字は人の生き死にがかかっている訳だからな…。
…はいはいフォーク大尉、報告を聞こうか。
「集計が出ました。第一艦隊…二千七百二十隻を喪失、三千二百八十隻が何らかの損傷を受けています。戦列復帰可能な艦艇は千八百五十ニ隻、戦力発揮可能な残存艦艇は合計一万八百五十ニ隻となります」
おお、なんとか一万隻は保ったか…。どれどれ、第二艦隊は約一万二千五百、第十二艦隊は…一万強?…ああ、十二艦隊はモートン分艦隊の被害が大きかったんだな。三千隻の内、千二百五隻喪失、九百三十一隻損傷…損傷艦艇の内、戦列復帰可能艦艇は四百七十隻…ううむ、三個艦隊合計で約一万ニ千隻の喪失と損害か。想像はしていたけど酷い、一個艦隊近い兵力が居なくなった事になる…敵はこの後どう出てくるか、ボーデンの味方はどう動くか…おそらくそちらには敵は来ないとヤンさんには伝えたけど確実ではないからな、うまく説得出来ればいいんだけど…。
7月1日12:00
銀河帝国軍、遠征軍、ヒルデスハイム艦隊、
旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
再編成の結果、左翼だったシュトックハウゼン艦隊は後衛に下がり予備兵力として待機する事になった。そのままゼークト艦隊が左翼にスライドし、中央がクライスト艦隊と我々ヒルデスハイム艦隊、右翼はそのままギースラー艦隊、という並びに変更されている。シュトックハウゼン艦隊は八千隻強、ゼークト艦隊は約一万、クライスト艦隊は一万三千ほど、ギースラー艦隊は一万、一番最後に参戦した我々は一万四千隻弱…戦闘が再開されたら、前衛は四個艦隊合計約四万七千隻という事になる。おそらく叛乱軍は三万隻ほどに兵力を低下させているだろう。四万七千対三万…此方は予備八千隻が存在するから不利ではないが、一万五千隻近い損害を出した事になる…。
シューマッハ参謀長の自室に呼ばれた俺とロイエンタール、ミッターマイヤーの三名は、参謀長のワインの相手をしていた。艦橋は私一人でいいから、と伯爵からの心遣いだった。それぞれシャワーを浴び、さっぱりした上で参謀長の部屋に集まった。何でも四百六十年物のワインがある、という事だった。
「
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