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八条学園騒動記
第七百十七話 三つ目の蜥蜴その九

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「かなり強くだ」
「主張しますか」
「彼等はおそらく連合で最もだ」
「宗教的な主張が強いですか」
「それが彼等のアイデンティティだからな」
 ユダヤ教徒のというのだ。
「何よりもだ」
「ユダヤ教の教義が強いですか」
「そうだ、ユダヤ教徒だからイスラエル人だしな」
 この国の者達でもあるというのだ。
「それこそな」
「ユダヤ教は絶対ですか」
「だからその戒律を守りな」 
 そうしてというのだ。
「食事もだ」
「守りますね」
「そうしたこともな」
 絶対にというのだ。
「そうしているのだ」
「だから豚肉も食べず」
「隠れてでもな、ユダヤ教の神には仕方なくとか隠れてという言葉は通用しない」
「罪は罪ですね」
「旧約聖書にある通りだ」  
 ユダヤ教の神のそうしたことはというのだ。
「キリスト教でも厳しくなくイスラム教ならだ」
「尚更ですね」
「旧約聖書とコーランでは登場人物は同じでもだ」
 名前の呼び方がヘブライ語読みかアラビア語読みになっているかである、そもそも神が同じであるとされているのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「人生もその結末もだ」
「違いますね」
「全くな、ユダヤ教はな」 
 実にというのだった。
「非常にだ」
「厳格ですね」
「戒律を少しでも破るとな」
「神罰が下るのですか」
「恐ろしいまでのそれがな」 
 大尉は話した。
「一人が罪を犯すと民族全体にだ」
「その神罰が及びますか」
「そうした宗教だからな」
「ユダヤ教徒は教義を真剣に守るのですね」
「協調性がないと言われてもな」 
 それでもというのだ。
「彼等にとってはな」
「信仰は絶対ですね」
「かつて欧州にいた時はだ」
 そのユダヤ教徒達がというのだ。
「キリスト教徒の中でだ」
「彼等だけが違ったのですね」
「キリスト教が絶対の中でな」
「彼等だけがそうであり」
「異なった者達とみなされてな」
 自分達と、というのだ。
「それでだ」
「迫害も受けたのですね」
「そうだったが」 
 それがというのだ。
「それでもだ」
「彼等は信仰を守ったのですね」
「中には改宗した者もいる」
 ユダヤ教からキリスト教にというのだ。
「シャイロックの様にな」
「確かヴェニスの商人の」
「悪役だ、彼は無理に改宗させられたが」
 ユダヤ人であるから悪者にされかつペテンの様なやり方で契約を無効にされたとも解釈出来るだろうか、その為彼に同情する意見も多いのはこの時代でも同じである。
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