暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第171話:光明への気付き
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「ん?」
「クリスの奴、本当に大丈夫なのかな?」

 響と共に透との仲が拗れた直後のクリスを見てたからこそ、奏は不安だった。ああもすれ違ってしまった2人の距離を、そう簡単に直す事が出来るだろうかと。
 これに対して、颯人の口から言える事は非常に少ない。こればっかりは2人の問題故に、自分達に出来る事は気付きを促したり2人が向き合えるような状況をセッティングするお節介までで、最終的に何処に着地するかは2人次第でしかないのだから。

 しかし、自分でも少し意外に思う程颯人は2人の事をあまり心配していなかった。

「信じてやれよ、先輩だろ?」
「え?」
「あの2人の間にある絆は、そう簡単に離れる程柔じゃない。今は離れてるように見えても、何処かで必ず繋がってるもんだ」
「でも透の方は……」
「そっちも心配いらねえだろ」

 先の戦いで、透のファントムが透に力を与えなかった。きっと彼のファントムも、彼に対して何かを言いたいのだ。それに気付かない程透は愚かではない。彼はきっと、声なき己の内に眠る存在の声に耳を傾ける。彼にとってはそれがクリスとの仲を取り戻す切っ掛けになると颯人は考えていた。

 或いは、今この瞬間日本に向かっている、彼と旧知の女性とその弟こそが彼に一歩を踏み出させる引き金になるかもしれない。

 そんな事を考えつつ颯人は帽子をずらして顔に被せてアイマスク代わりにすると、そのままソファーに凭れかかりながら寝息を立てる。彼が仮眠に入ったのを見て、奏はそっと彼を引き寄せ自分の太腿の上に彼の頭を乗せて膝枕してやるのだった。
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