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イベリス
第百十七話 お巡りさんの名前その六

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「そうだよな」
「その場合は」
「現実でも同じでな」
「努力しないと駄目ですね」
「人間はな」
「レベル一のままだと仕方ないですよね」 
 何も出来ないとだ、咲も言った。
「そうですね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「本当にな」
「努力することですね」
「そうしたら人間として成長出来て」
 そうしてというのだ。
「幸せにもな」
「なれますね」
「成長出来たらそれだけだよ」
 人減として、というのだ。
「幸せになれるものも見られて」
「世界が広くなりますか」
「自然と視野もな」
「広くなりますか」
「色々なことを知れてな」 
 そうなってというのだ。
「そうなるんだよ。あとな」
「あと?」
「成長するっていうのはな」 
 マスターはこのこと自体の話もした。
「自分の至らなさもな」
「知るんですか」
「その中でな」
「そうですか」
「だからな」
 至らないと思うからだというのだ。
「尚更な」
「よくなろうと思って」
「そう思ってな」
 それでというのだ。
「尚更な」
「努力してですね」
「成長するものだよ」
「尚更ですか」
「人間の成長ってのは無限なんだよ」
「あの、死にますけれど」
 咲はマスターの今の言葉に首を傾げさせて突っ込みを入れた。
「人は」
「いや、魂はな」
「あっ、それはですか」
「魂は不滅だろ」
 人は死んでもというのだ。
「身体は死んでもな」
「心はですね」
「不滅でな」
「そちらはですね」
「死ぬ度に記憶はなくなってもな」
 ただごく稀にそれが残っていることもあるという、前世の記憶といい時折そうした事例が報告されている。
「魂の経験、成長はな」
「続いているんですね」
「だからな」
「人間の成長は無限ですか」
「そして何時かはな」
 生まれ変わりを繰り返してというのだ。
「お釈迦様みたいにだよ」
 まさにというのだ。
「解脱だってな」
「出来るんですね」
「成長していったらな」
「そうですか」
「そして解脱してもな」
 そうして仏と呼ばれる存在になってもというのだ。
「そこからもな」
「成長していきますね」
「努力していったらな、だから経験をな」
「どんどん積むことですか」
「いいことをな。何もしないでふんぞり返っていても」
 それでもというのだ。
「全くな」
「何にもならないですね」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
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