第百十七話 お巡りさんの名前その一
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第百十七話 お巡りさんの名前
咲は交番の警官と挨拶即ち言葉のやり取りが出来て嬉しかった、だがすぐにもっとしたいことが出来た。
それでだ、この日もだった。
何気なくを装ってそのうえで交番の前を通った、するとその警官がこの日も立っていたのでまた挨拶を交えさせたが。
どうしてもしたいことが出来なかった、それでだった。
喫茶店でマスターに何気なくを必死に装ってカウンターでコーヒーを飲みながら尋ねたのだった。
「あの、いつも来られてるお巡りさんですが」
「あの若い人だね」
「男の人の」
「あの人がどうしたんだい?」
「お名前何ていうんですか?」
何とかさりげなく出来たかと思いつつ言った。
「あの人は」
「近藤さんだよ」
「近藤さんですか」
「そう、近藤憲明っていうんだ」
マスターはあっさりと答えた、表情を見れば何でもないという顔だった。
「あの人はね」
「近藤憲明さんですね」
「そうだよ」
今度は微笑んで答えた。
「いい名前だよな」
「そうですね」
とてもと言いそうになったがそれでは疑われると思いこう言い換えた。
「言われますと」
「それで渋谷署にいてな」
「交番におられるんですね」
「そうだよ、忙しいことはな」
「やっぱりですね」
「間違いないよ」
「渋谷にいますと」
「本当にここも色々な人がいるからね」
マスターはこのことば複雑な表情で話した。
「いい人も悪い人も」
「両方ですね」
「だからな」
「渋谷署の人は忙しいですね」
「新宿程じゃないかも知れないけれどな」
「新宿はやっぱり凄いですね」
「歌舞伎町もあるしな」
この場所もというのだ。
「あそこは下手に行ったら危ないんだよ」
「女の子が一人でなんて」
「絶対にだよ」
それこそというのだ。
「行くものじゃないよ」
「そうした場所ですね」
「そうだよ」
「やっぱりそうですよね、あそこは」
「だから将来行くことになっても」
「一人じゃ行かないことですね」
「表の道を歩くだけならいいさ」
それならというのだ。
「まだな、けれどな」
「裏通りはですか」
「行くべきじゃないよ、大勢で飲み屋かカラオケに行く位だな」
「歌舞伎町はですね」
「ああ、それ位にしておくんだよ」
こう言うのだった。
「いいな」
「そうします、安全第一ですからね」
咲もこう答えた。
「楽しむにしても」
「そうだよ、だからな」
「歌舞伎町もですね」
「表を大勢で歩くんだよ」
そうすべきだというのだ。
「大学生とか就職とかしても」
「そうして楽しむ場所ですね」
「歌舞伎町はな、ただ楽しいかっていうと」
「楽しい場所ですね」
「飲む店にカラオケもあっ
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