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ドリトル先生の落語
第六幕その五

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「そう言っていますが」
「でしたら今度大阪にお伺いします」
 先生は自分から言いました。
「時間がある時に」
「いえ、それには及びません」
 上林さんは確かな声で答えました。
「それでしたら春琴からです」
「こちらにですか」
「大阪と神戸でしたら」
 それならというのです。
「もう目と鼻の先なので」
「だからですか」
「それに八条大学は彼女の出身校ですし」
「そうらしいですね」
「はい、春琴も是非です」
 そうした感じでというのです。
「訪問してです」
「そしてですか」
「母校も観たいとです」
「言っておられますか」
「そして何よりも」
「僕とですね」
「自分が行くのが礼儀と言っていて」
 それでというのです。
「伺うとのことです」
「そうなのですね」
「ですから」
 それ故にというのです。
「先生はです」
「待っていればいいのですね」
「はい、では何時が宜しいでしょうか」
「土日でしたら」 
 こうした曜日はとです、先生は答えました。
「何時でもです」
「いいのですか」
「はい」
 そうだというのです。
「ご安心下さい」
「それでは」
 上林さんも応えてでした。
 先生と春琴さんが来る日時のスケジュール調整を行いました、お話はすぐに整って終わってなのでした。
 先生は春琴さんとお会いすることになりました、それで上林さんとのやり取りが終わってそのうえで。
 先生は皆にまさかというお顔でお話しました。
「聞いたと思うけれどね」
「うん、春琴さんとだね」
「あの人とお会いするね」
「そうなったね」
「予想外のことだよ」
 驚きを隠せないで言う先生でした。
「イギリス人の女性の落語家さんがいるって思ったら」
「それでその人の落語聞いて」
「いいと思っていたら」
「そこでだからね」
「その人から会いたいって」
「そう言ってきてね」
「意外も意外だよ」
 こう言いました。
「本当にね」
「世の中何があるかわからないけれど」
「今回もだよね」
「本当にそうよね」
「何があるかわからないわ」
「全く以てね」
「若しかして」
 先生は考えるお顔になって言いました。
「これも縁かな」
「ああ、先生が春琴さんのことを知って」
「その人の落語を聞いた」
「それは縁だったんだね」
「今回の」
「人からは偶然に見えて思えても」
 それでもというのです。
「これは実はね」
「縁だね」
「神様のお導きだね」
「そうだね」
「偶然は世の中にないという人もいるよ」 
 実際にというのです。
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