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第三十五話 質問その十一

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「わかったわ」
「それでは」
「撤退するわ」
「それでは。そして封真君は」
「そう言われるなら」
 星史郎の返事は素直なものだった。
「そうさせてもらいます」
「そうですか」
「星史郎さんの手をわずらわせてすいません」
「いえ、気にしないで下さい」
 封真に優しい微笑みで堪えた。
「僕は好きで来たのですから」
「だからですか」
「僕が来ればです」
 その時のことも言うのだった。
「またです」
「また?」
「彼が来てくれるので」 
 こう言うのだった。
「ですから」
「彼、まさか」
「そのまさかですよ」
 モニターの中の颯姫に答えた。
「そうしてくれますから」
「だからなのね」
「来ました」
「そうですか、それなら」 
 封真は星史郎の話を聞いて言った。
「後はお任せします」
「その様に。では撤退の援護をしますね」
 星史郎は封真に告げてだった。
 ここで陰陽道の札を数枚だした、それはどれも黒いものだったが。
 烏となった札達を神威と護刃に向かって放った、そのうえで言った。
「悪いですが本気で行きますよ」
「!?こいつ」
「強い!!」 
 神威と護刃は烏達を防ぎかわしつつ言った。
「はじめて戦ったけれど」
「ここまでか」
「お二人に撤退してもらいたいですし」
 封真と颯姫の前に出て言った、颯姫の場合はビーストを用いているが星史郎はビーストを彼女と同じとみなしていた。
「そうさせてもらいます、それに」
「それに?」
「それにといいますと」
「来ましたね」
「星史郎さん、やはり」
 昴流は戦場に来て彼を見て言った。
「来ていましたか」
「君が来ると思っていたので」 
 星史郎は昴流にも微笑んで話した。
「来ました」
「そうですか」
「お二人の撤退の援護に」 
 また封真と颯姫を見て話した。
「それに君と会えると思いまして」
「だからですか」
「さて、どうしますか」
 星史郎は神威と護刃を襲う烏達に札を投げそれが転じた鳩達を向けている昴流に対してさらに問うた。
「これから」
「お話をしたいですが」
「お話ですか」
「はい、いいでしょうか」
「構いませんよ」
 星史郎の返事は澄んだものだった。
「それではお話をしましょうか」
「ではお願いします」
「何故僕が君の元を去ったかですね」
 星史郎は自分から言った。
「そのことですね」
「そして姉さんを」
「北斗さんのことが君が知っている通りです」
 まずはこのことから話した。
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