第二章
[8]前話
その顔は白く奇麗なものになっていた、口の周りも。妹はそんな姉を見て思わず笑顔になって彼女に言った。
「よかったね、お姉ちゃん」
「うん、ずっと凄く嫌だったけれど」
「治ってよかったね」
「凄く嫌な傷も治るのね」
姉も嬉しそうに言った。
「そうなのね」
「ああ、色々難しいがな」
「治したいと思えば治るのね」
両親も言って来た。
「昔は完治無理だったらしいし」
「今も難しい手術だったそうだが」
「ちゃんと治るのよ」
「治したいならな」
「時間がかかっても」
「きっとな」
「そうよね、無理かもって思った時もあったけれど」
聡美は自分から話した。
「こうしてね」
「治るものなんだ」
「希望を持てばいいのよ」
「そうよね、じゃあ退院したら」
聡美は笑顔で言った。
「学校に戻って遅れた分取り返さないと」
「そうだな」
「お勉強頑張ってね」
「お姉ちゃんも頑張るなら」
優もそれならと言った。
「私もね」
「ああ、頑張るな」
「そうするわねあんたも」
「そうするね」
こう言ってだった。
妹も学業に励んだ、火傷の跡がなくなった聡美はこれまで以上に勉学に励み医師それも整形外科医になってかつての自分の様な人を救う様になった。そして妹は家業にも励み店を継いで店員だった夫と共に美味いうどんを作っていった。妹は大人になってからも姉に言った。
「お姉ちゃんの火傷が治って」
「子供の時ね」
「よかったって思ったわ、それで退院の時ね」
その時にというのだ。
「頑張るって言って」
「あんたも頑張る様になったの」
「それに希望を持ってね」
そのうえでというのだ。
「そうなったわ」
「そうなのね」
「火傷の跡もなくなったし」
奇麗な姉の口元を見て話した。
「それならね」
「希望を持って頑張る」
「そうなる様になったわ」
「そうなのね」
「私もね」
自分が結婚するという報告に実家に戻って来た姉に話した、その姉の顔はとても奇麗に見えた。もう火傷の跡は何処にもなかった。
火傷のある姉 完
2023・9・23
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