蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
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はただ一人。
ただでさえ、二度と出会う事の無かった自分達だ。
この機を逃してしまえば――――この様な好機は二度と巡って来ないだろう。
――その背に追い付く機会は今しかなかった。
――追い求めた相手を捕える事が出来るのは今だけだった。
手を伸ばす。無我夢中のまま、己が腕へと紫炎と化したチャクラを纏わせる。
腹が抉られ、片腕は消し飛んだ。大量の紙片が周囲に飛び散り、視界の端では赤い花が咲く。
死人の身であることが幸いして――並の人間であれば即死の追撃も気にせずに足を進められる。
――――進んで、進んで、そうして。
嘗て届くことの出来なかったその頂きへと、無我夢中なまま手を伸ばした。
*****
「――……え?」
そう呟いたのは、誰が最初だったのだろう。
その場で手出しする事も無く事態を見守っていた者達は、目の前で起こった光景に目を剥いた。
「届いた、のか……?」
「……まあ、そうなるのかなぁ」
夕暮れ時の残照の輝きが戦場を染め上げる中、彼らの見守る先では二つの人影が向かい合っている。
一人は驚いた様に目を見張って呆然と声を漏らし、もう一人はどこか困った様に……優しく微笑んでいた。
「嘘だろ……、初の姉ちゃんが……!」
「落ち着け、ナルト!」
今にも飛び出そうとしていたナルトの肩を、同じく動揺を隠せない我愛羅が押さえる。
彼だけでない。歴戦の忍びであるオオノキも、冷静沈着なドダイも信じられないと動きを止めている。
そんな彼らの反対側で同じくこの戦いに魅入っていたカブトもまた、その光景に内心驚愕していた。
「決着が……付いたのか……?」
オオノキの口から愕然とした声が零れ落ちる。
その呟きに答えようとドダイが口を開くが、結局何も言えずに口を閉ざすに留まった。
生と死の狭間を行き来する二人の舞は、突如として動きを止めていた。
――他ならぬ黒髪の彼の人が、その胸に凶器と化した相手の腕を突き刺された状態になったせいで。
「あーあ。楽しい時間はあっという間に過ぎるって言うけど、その通りだなぁ」
「柱間……?」
己の胸に刺さった腕に軽く触れて、彼の人は困った様な苦笑を浮かべる。
長い黒髪が吹き抜ける風に煽られて、羽衣の様にその容貌を華やかに彩った。
「元々、穢土転生を大蛇丸が使用した時は未完成だった」
元来不確定要素であった彼の人にとっては、別にどうでも良かった事だったのだろう。
淡々と、誰もがそれまで目を逸らしていた事実を、彼の人は何の気負いも無く告げる。
「だからこそ、反忍術を使ったとしても……色々と、欠陥が有ったままだったのさ」
――――赤い血が、笑みの形を象った口の
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