蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
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チャクラを吸う性質を持つ木龍相手に、高濃度のチャクラの塊である須佐能乎完全体は少々分が悪い――決着がつく前に早急に本体である己が片をつける必要がある、と判断する。
そう策を巡らせていれば、神秘的な緑の輝きを帯びた黒瞳と目が合わさって、相手が己と同じ事を考えていたのだと理解した。
「――それでは、再開といこうか?」
「ああ。小休止は仕舞いだ」
短い言葉を交わし合い――互いに獲物を手にして地を蹴った。
一瞬たりとて同じ動作の無い、武芸の極みに到達した者にのみ許された鍔迫り合い。
金属のかち合う音とそれによって生じる無数の火花。真っ赤な血飛沫と灰白色の紙片が辺りに飛び交った。
「あ、ははは! やっぱり面白い――悔しいけど、お前と戦うのは心が躍る! 平和主義者の看板を放り捨てたくなるよ!!」
胸の奥から込上げて来る激しい歓びの感情に蓋をする事無く、奴は苛烈に笑う。
一度死人となった事で長としての役割から解放されたせいか、生前の奴であれば口にする事の無かった言葉。
――否、一度だけ似た様な事を戦場で告げられた事はあった。そのすぐ後に、七尾の襲撃を受けた際に。
戦嫌いの千手柱間。
圧倒的な力を持ちながらも、それを使う事をよしとしなかった戦国の英雄――己の仇敵。
憧憬の的であり憎悪の対象であり、己の認めた唯一無二のライバルだった。
――届くのだろうか、今度こそ。
あの遥か頂きにて遠くを見つめているあの背中へと、その存在へと。
胸中で沸き上っていく切望。
かつて叶える事の出来なかった、その願い。
世界を永遠の幻術の支配下に落としてやる事を目的としながらも、その願望だけはずっと捨て切れなかった。
「出し惜しみなんかするな! お前の力はこんなもんだったか? だとすれば早々に冥土にお戻り願おうか!」
「よく言った! ――その言葉、後悔などするなよ!!」
――楽しい、愉しい。
己も相手も同じ事を思っているのが分かる。
かつて戦場で対峙しては、二人で刃を交わしていた時の様に――これ以上無いほどに心が満たされる。
凛とした面が鮮やかに笑って、己の姿を見つめている。
最後に見た姿はあまりにも儚く、あれほど輝いていたその命の灯火は己の前で掻き消されて、そのまま手の届かぬ所へと逝ってしまった。
しかし、今の奴は違う。
――焦がれ憎みながらも、追い求めたあの燦然たる輝きのままで……手の届く位置にいた。
我武者らに、手を伸ばす。
攻撃を防ごうとする木の壁を叩き割り、不安定に揺れ動く大地を蹴って一直線に奴の元を目指す。
己の進攻を止めようと四肢に絡み付こうとする木々の根を砕いて、自分の身を貫く大樹の攻勢を無視して――目指す相手
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