蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
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不味いな。
震える体を無理に動かして、足に突き刺さったままの黒杭を睨む。
マダラのチャクラを放出し続けているこれが原因なのは疑い様が無い――なんとか隙を見つけて外さなければ。
「これだけ圧力をかけてもまだ動けるか――流石だな」
「褒めるには、ちょっとばかり気が、早すぎる、ん、じゃないか?」
右手を私の方へと翳したままの状態で歩み寄って来るマダラ。
その余裕綽々な表情を地に倒れ伏した姿勢で見上げて、少々強張ってはいるものの敢えて微笑む。
案の定、マダラは警戒するように足を止め、器用に片眉を持ち上げた。
――生憎だけど、やられっぱなしは私の性には合わなくてね。
にやり、と自分でも分かる位の悪人面で笑ってやった。
「いい判断だよ。最も、そうでなくちゃ、面白くないんだけどね! ――おいで、木龍!!」
地面へと押し当てた手にありったけのチャクラを込めて、とっておきの切り札を呼びよせる。
大地が鳴動して巨大な裂け目が生じれば、そこから咢を大きく開いた龍がマダラを一飲みにしようと躍り出た。
「――……終末の谷で、九尾の動きを止めた奴か!!」
「ご名答!」
あわよくばマダラの図体を噛み千切らせるつもりだったが、残念ながら右腕一本を食い千切っただけに留まった。
全身にかけられていた圧力が霧散するのを感じ、素早く身を起こして足に突き刺さったままの黒杭を引き抜く。
私の手の中の黒杭の纏うチャクラが愉快そうに小刻みに震えるのを感じた。
――――唯一無二の好敵手の本気を感じて、乾いた唇を潤そうとぺろりと舐める。
最早私に守るべき物は無い。
一族も里も、既にこの世には存在しない『私』と言う存在を縛る事は無い。
だからこそ、ただ一人を見据えて思う存分に戦える――戦う事が出来る。
それがどうしようもなく嬉しくて、狂喜にも似た感情が胸の奥で膨れ上がっていった。
******
にやりと嗤った奴の表情に戦慄を覚え、踏み出しかけていた足を咄嗟に横に動かしたのは正解だった。
視野の広さと付随する能力は輪廻眼が上だが、相手のチャクラを読み解き先読みすることに関しては万華鏡の方が優れている――その隙を突かれたか、と軽く舌打ちして、尚も追随して来ようとしてきた龍の横面に蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「足一本と腕一本でチャラって事にしておいてあげようか?」
「――ほざけ。次はその心臓を貫いてやる」
刺さっていた黒杭を引き抜き、滴る血もそのままに放り捨てた奴が意地悪く首を傾げる。
少し離れた所で、奴の呼び出した木龍は須佐能乎完全体へと襲いかかってはその喉笛目がけて牙を剥き、己の分身操る須佐能乎は自由自在に動き回る木龍を叩き潰さんと三腕を振るっている
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