蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て締め上げた。
「“――木遁・挿し木の術、改”ってね!」
さらに片手印を組んで、須佐能乎の全身を拘束する木々に自分のチャクラを流し込む。
そうすれば大樹が地面へと無数の根を張り巡らせる様に、天狗の動きを封じていた太い幹から無数の枝が生えて、その紫炎を帯びた躯へと食い込み、内側からあの巨体を崩そうと蠢動する。
我ながらえげつない術だと思うが、最硬の鎧でもある須佐能乎完全体の防御を突き崩すにはこれくらいしなければ。
――今のマダラ相手に、やりすぎなんていう言葉は通用しないのだから。
全身を木の根に貫かれた須佐能乎完全体が大きく揺らぐ。
巨大化して攻撃力が上がった分、通常時の須佐能乎よりも若干防御力が下がっている事とチャクラコントロールの制御が難しくなる事があの術の難点だ――そこを、突かせてもらう。
チャクラをより濃密に、より緻密に練り上げていれば――寒気を感じて、大樹から身を離した。
「――っぐ!」
綿密かつ繊細なチャクラコントロールを必要とする術に気が取られ、判断が一瞬ばかり遅れてしまう。
鋭い痛みと共に慣れ親しんだ鉄錆の匂いが周囲に漂い、眉間に皺を寄せて歯を食いしばった。
「……これは、一本取られたな――まさか須佐能乎完全体を囮にするとは……剛毅な事だ」
視線を下げれば、斜めに傾いだ陽光を浴びて鈍く輝いている黒杭が私の足に突き刺さっている。
不穏なチャクラを放っているそれが、前に木ノ葉の里を襲撃してきた暁の首領の遺留品と類似した物である事に気づいて、軽く舌打ちした。
「一つ間違いがあるな――残念ながら、どちらも本命だ」
自分の足から視線を外して見上げれば、闘気と殺気を隠して肉薄していたマダラの姿が目に入る。
私の視界を占有するマダラは巨樹の幹に垂直に佇んだ状態で、服の袖から幾本もの黒杭を取り出す。
波紋を描く紫の瞳が不穏に輝けば、刺さったままの黒杭から放たれるチャクラの波動も強まって、顔を顰めた。
「ちょろちょろ動き回られると面倒だ――恨むなよ、柱間?」
「何を、って――つぁ!」
先程までが凪いだ湖面に走る漣だったとすれば、今の黒杭から放たれるチャクラの波動は荒れ狂う激流。
足に突き刺さったままの黒杭を源として発されるチャクラに、その場に崩れ落ちてしまう。
――ずん、と腑を掴まれ、大地へと引き摺り落とされる様な感覚に思わず呻き声を上げた。
「っつ、ぐ……!」
経験者から話半分に聞いてはいたけど、これはきつい。
まるで私の周囲だけ重力が狂っているか、見えない巨人の手で地面に押し付けられているようで、動く事すら侭ならない。
視界の端では挿し木の術による拘束から逃れようと大天狗が暴れまわっているし、このままでは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ