蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
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を余儀なくされる。
ほんの一瞬前に、自身へと向けられた波紋を描く紫の瞳。
その双眸で鋭く睨みつけられたカブトは苦笑せざるを得なかった。
******
「ふ、ふふっ……! はははっ!!」
心が躍る、血が騒ぐとは、まさに今の私の様な状態なのだろう。
楽しくて、愉しくて、敢えて言葉にするのであれば、全身の細胞の一つ一つが歓喜の歌の大合唱を奏でている様だった。
「愉しそうだな、柱間!!」
「応とも! 心が浮き足立って堪らない!」
薄皮一枚と数本の髪の毛を犠牲にして、振るわれた紫の炎を帯びた霊器の攻撃を避ける。
赤い血が噴き出して視界を染めるが、生前同様に手を触れずともその傷が瞬く間に癒えていく。
仕返しとばかりに相手の首を切りつけてみたが、薄い切り傷を付け僅かな紙片を散らしただけに留まった。
「色々と、そう色々と言いたい事も有ったが、なっ! これでお互い様って事にしてやるよ!!」
「相変わらず傲慢な奴だ!」
「お前にだけは言われたくないね!」
――文字通り生死の境を行き来するこの紙一重の感覚に、体の芯からゾクゾクする。
生前を含めて、死人としてこの世に甦って来てからも、各地の強者共とやり合ったが、これほど心が満たされる闘いを私に与えてくれるのは、今も昔もただ一人だけだった。
「は、はは。参ったなぁ」
――――楽しくて愉しくて、仕方がない。
見慣れた揺らめく炎を映した赤い瞳ではなく、紫の波紋が浮かぶ目ではあるけれど、その眼差しはかつて戦場で見えていた時と変わらない。
最後に戦ったあの決別の晩よりも、更に腕が上がっている。
その事実に戦慄し、繰り広げられる相手の技に死神の鎌を連想しては、その感覚に全身が興奮を覚える。
「――来いよ、マダラ! 一度は死んだ者同士、何だったら夜更けまで踊り狂おうじゃないか!!」
私の呼びかけに応じてか二面双腕の鬼が大きく揺らいで、その体躯をますます巨大な物とする。
生前は体への負荷が大きすぎて、それこそ尾獣相手にしか使うことの無かった須佐能乎の完全体である大天狗。その一振りで山脈を両断し、森羅万象を破壊すると言う暴虐の化身、絶対防御を誇る須佐能乎の最終形態にして――マダラの切り札のお出ましだ。
「――須佐能乎完全体か! 面と向かってやり合うのは初めてだな!」
「ああ。さて、どう防ぐ――千手柱間!?」
裂帛の気合いと覇気を纏いながら振るわれた攻勢を避けるべく後方へと大きく跳んで、この戦場に辿り着いた時に生み出しておいた巨樹へと身を寄せる。
ざらつく樹皮へと手を当てて己の意思に従う様に命令を下す。
すると、それまで絡み合っていた木の幹が分岐して大天狗へと勢いよく襲いかかり、その巨体を万力で持っ
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