蛇足三部作
『歓喜と共に再会を祝そう』
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「す、すげー。これが最高の忍び同士の戦い……」
「凄まじいな、これは……。五影と言えど割って入れるかどうか……」
部隊の大部分は既にこの戦場から離脱しており、この場に残っているのは影二人と一部の実力者を始めとする数名の忍び達に限られていた。
残った者達とてそれぞれ勇名を馳せた一流の忍びであったが、流石の彼らでさえ眼下で繰り広げられている技の応酬に対しては黙って見守る事しか出来なかった。
――指揮者の様に細い腕が号令をかければ、木々の幹が鞭の様にしなっては大地を叩き割っていく。
――二面双腕の鬼の持つ刃が地を薙げば、振るわれた腕の勢いのままに大地が削り取られていく。
一方が磊落に微笑みながら波濤の様な大樹の波を生み出してみせれば、もう一方は不敵に笑って燃え盛る業火を地上へと顕現させる事で返す。
――共に乱世の英雄と呼ばれ、数多の伝説を築き上げた者同士。
戦国の世の頂点に君臨した超一流の忍びとしての、文字通り命を懸けた死闘が目の前で繰り広げられていた。
あのまま他の者達が残っていれば、間違いなく戦いの余波だけで甚大な被害を被ったであろう。
放たれる技の一つ一つが極意に達した忍術であり、相手の息の根を止めるためだけに磨かれた技術であり、それだけ眼下の二人の間に交わされる殺気と闘気の応酬は尋常な物ではなかった。
歴戦の忍びでさえ、二の足を踏まざるを得ない――そんな凄惨すぎる殺し合い。
――それなのに。
「なんだか……初の姉ちゃん、楽しそうだってばよ」
「お前にも、そう見えるのか」
離れた所で様子を伺っていたオレンジ色の忍服の少年――うずまきナルトがそう零せば、無表情で事態を見守っていた風影である我愛羅もまた小さな囁きで返す。
「殺し合いをしていると言うよりも……寧ろ」
それから先の言葉を紡ぐ事無く、影分身であるナルトは胸中で呟く。
自分も、自分がライバルだと思っているあの黒髪の少年と――目の前で繰り広げている様な戦いをしてみたい。
思わずそう願ってしまう程、殺し合いに興じている彼らの姿はとても楽しそうで、そして……生き生きと輝いて見えた。
――地面が大きく蠢動し大地が隆起しては、木々が無尽蔵に茂っていく。
天変地異にも紛うこの世界の振動が、ただ一人の手によって起こされていると誰が信じられる。
――地表が真っ赤に染め上げられ、瞬く間に辺り一面を陰惨な焦土と化す。
大地に太陽が激突した様な惨状が、ただ一人の生み出した炎によって為されたと誰が信じられる。
「やってくれるじゃないか! だったら、これならどうだ!」
「他愛のない! その程度か、千手柱間!!」
長い黒髪を靡かせた麗人が愉快そうに笑って複雑な印を組めば、絡み合う
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