第三章 (2)
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「はーい!」
初めて会うかぼすちゃんは、思ったより人見知りせずに笑いかけてくれた。うちのビアンキみたいに警戒心丸出しで、カーテン引いて隠れたりしない。
……でもおかしいな。「人見知り機能」とやらは、働いてないのか?
他にも何か言うかなー、と思い、一拍おいてみたけど、特に何も言ってこない。ひたすらにこにこしているだけだ。…背後で、僕のノーパソ備え付けのカメラからズーム音が響いた。振り向くと、ビアンキが好奇心丸出しで身を乗り出していた。
「私たちって、そとから見るとこんなふうなんですね」
「あぁ…そういえば、他のMOGMOGに会うのって初めてだっけ」
ビアンキは、ふるふると首をふった。
「初めてじゃないです。みんなとは「こっち」で会ってるから。かぼすちゃんとも初めてじゃないです。ね、かぼすちゃん」
一呼吸遅れて、かぼすちゃんが「はい!」と微笑んだ。
僕の知らないサイバースペース(仮)の中で、ビアンキとかぼすちゃんが知り合いだったなんて、なんか少し不思議な気分だ。多分サークルの掲示板ででも知り合ったんだろう。そういえば紺野さんが、MOGMOG同士はウイルス情報を共有すると言っていた。僕の訪問サイトの履歴とか、やばい情報まで共有してなければいいけど……
柚木が、何故か感心したような表情で、そんなやり取りを見ていた。
「…かぼすちゃん、意外と無口だねぇ」
「んー。MOGMOG、結構重いからさ、普段はシンプルモードにしてるんだ」
「シンプルモードなんてあるんだ…」
「姶良―、説明書よく読もうよ。…にしても重いよね、MOGMOG」
…ぼくも、そう思っていた。特殊なインターフェイスを採用してるから仕方ないとはいえ、価格もファイルサイズもケタ違いだ。
「そーだよね。ちょっと重いな。これじゃ、ほかのソフトに影響が出るよ」
「ねー、1ギガって。OS並みだよねー」
……1ギガ? ……そんなもん?
僕は最近、なんとなくノーパソの動作が重く感じるのがどうしても気になり、MOGMOGの容量を調べてみたことがある。
――僕のMOGMOGは、約3ギガを記録した。
うわ凄いな、みんなよくこんな重いセキュリティを我慢して使ってるな、と、ある意味感心したものだ。
でも柚木のMOGMOGは1ギガだという。ならば、ビアンキは既に、変なウイルスに冒されているのか?
それとも「MOGMOG着せ替えBOX」とやらは、そんなに重いソフトだったのか?
だとしたら安易に柚木に貸したりしたら、かえって恨まれそうだ。
……それにしても……
柚木のMOGMOGに、少し違和感を感じる。
どこか人形じみてるというか、生気がないというか…
ビアンキに比べて笑顔もぎこちないし、しぐさも不自然。
…シンプルモードとやらのせいか?
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